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□夜鷹の夢
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夜の闇にまぎれ


先なんかどうなるか分かんない道を





僕等 低空で飛び続けた




俺達は何とかなるって信じて、走り続けた












月は何も知らず




誰もが俺達の未来を知るわけなくて













低く エンジンが響いてた





ずっと俺達は走り続けてた








































そこにどんな人が 暮らし 笑い合っているのでしょう







海を挟んだ向こうにあるシティには







色んなやつが暮らしてて












楽しそうに笑ってるんだろうな


















そこでどんな夢が 生まれ 育まれていたのでしょう








シティにいる子供は、











どんな夢を持って大人になっていくんだろうな



























地図に示された 名も読めない町







地図に描かれた俺達のいるちっぽけな島。


名前なんて書かれてるはずもなくて


















今夜も 正義を御旗に







それでも、俺はこのサテライトで走り続ける































生きとしいけるもの全て






シティにも、俺達のいるサテライトにも














焼き尽くす紅蓮の炎が真下に流れる







同じ地球に流れてる、同じマグマが





シティの下にも サテライトの下にだって、流れてる























予定どうりに機首上げて






予定どうりにハンドルを握って











弾薬庫の蓋閉じて






いつものように取ってきたカードを袋に詰めて













勝利の旋回





子供達の所へ帰るために旋回をする

























何も 見ない 何も 聞かず 何も 何も 何も 何も










俺がやってることがどういうことかなんて、分かってる


・・でも、でもそうするしかないんだ!












ただ、前を見て進むことしかできなくて



































まるで祝うように





シティではフェスティバルでもあるみたいだ












花火 ささやかに打ち上げてる







サテライトから見える花火は本当に小さくて





















怒り 嘆き 悔やみ

そして 憎しみを受け止める











暗い中で見える小さな花火は



本当に小さくて、なんだか 俺みたいだった






























朝日より早く まぶしい光が

突然 ガラスを砕いて







そんないつもに


突然ひびが入って



































生きとしいけるもの全て





・・シティのやつらだって!サテライトで生きてる俺達だって!!














同じ色 真紅の血が 胸から流れる





同じ血が流れてるじゃねぇか・・・!



必死に、生きてるじゃねぇか・・・・・
























力なく握る操縦桿





力が入らない手でハンドルを握り締めて














振り向き叫んでみても

誰も答えない









「さっきまで歩いてたやつらは?


笑ってたやつらは・・!?





子供達はどこに行っちまったんだよ!!?」










誰にぶつけるでもない俺の声に





答えてくれるやつなんていなくて




























月が 遠く 霞み 消える 

母も 父も 友も 君も








闇に染まったここからじゃ、空だって見えやしねぇ




マーサ達も、遊星達だって・・・、みんな、みんな見えねぇんだ!
































生まれた国が違うなら






生まれた場所が サテライトじゃなくて

シティでもなくて




他の国だったら















こんな砂漠の朝焼け
見ずに生きてゆく









こんな闇、見なくて済んだのか?


もっと世界が 違ってたのか・・?























暁の空に夜鷹が

はぐれてもう戻れない


流れ星になる








ははっ・・・、なっさけねぇ・・・・・






呟いた言葉は闇に呑まれていった


































生きとしいけるもの全て







どんな場所でも、生きてるやつは全員













同じ色 真紅の血で

命を 育てる







同じ、真っ赤な血で命を繋げてる



























どんな正義をかざしても 流れ出る真紅の血を








「俺は、俺はみんなを・・守りたいんだ・・・!」









声を荒げて壁を殴りつけた



でもそれで何かが変わるわけじゃない・・

分かってる、それくらい俺だって!・・・・分かってるんだ・・・














止められはしない





感じるのは壁に殴りつけた拳に伝わる鈍い痛みだけで






何かを止められたってわけじゃない


止めることが出来ないんだ・・・

































夢を 見てた 長い 夢を

長い 夢を 長い夢を










これが夢だったら、この夢が覚めたら

子供達は笑ってて


いなくなっちまったみんなも元に戻ってくるのか?









ハンドルを握りなおして、もう一度真っ黒に染まった空を見上げた







































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