まずいよ!勝己さん!!
□苦手克服(2)〜針谷編〜
1ページ/11ページ
昨日。
志波が、いきなり電話をかけてきて「おまえ……明日空いてたら、オレと二人でカラオケBOXに行かないか」と誘ってきた。
コイツは、いつだったか、電車の中でオレに痴漢しやがったような男だ(しかも、その後、駅のトイレでヤられた)。
もちろん、オレは断ろうと思った。
死んでも、志波と二人で会う気なんかなかった。
けど……
「……この間、針谷が気を失ってる間に撮った、恥ずかしい写真だけど。いい感じに撮れてたから、おまえにも見せてやろうかと思って」
志波は、オレが何か答えるよりも先に、そう付け足したから。
(……恥ずかしい写真?)
断るための言葉が、オレは喉から出てこなくなった。
そんな写真が本当に存在するのかなんて、知るハズねぇけど……
(もし、万が一、そんなものがあるとしたら……)
考えただけで鳥肌が立つ。
どうにかして取り返さないと、ヤバイ。
断るワケにいかなくなったオレは、仕方なく「行く」とだけ返事をして、そのまま電話を切った。
志波に会ったら、必ず写真を取り返すつもりでいた。
この前のことは、騒ぎにしたくないし……
今までのような仲に戻れないなら、そのまま縁を切るつもりだった。
きちんと話を付けようと思っていた。
それなのに………
「テメッ…!何する気だ、志波ッ!!今すぐやめろ!今すぐだっ!!」
「ククッ……どんなに暴れても無駄だと思うぞ、針谷。オレの力の方が、強いに決まってるだろ?」
「……ッざけんな!離せッ!!」
この有り様だ。
.