NightMare

□正義の復讐〜氷上編〜
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「あっ……」

“その部屋”に通された瞬間。
僕は息を飲んだ。


日当たりもよく広い。清潔に整頓されている室内の家具や装飾はすべてが一流。
まさに成功者の住居。
そんな印象を受けていたウェザーフィールド君のマンションの、一番奥の“その部屋”は、僕の抱いていたイメージを大きく裏切った。


窓一つない室内は6畳ほどの広さしかなく、薄暗い上にどこか埃っぽい。
今までの部屋と比較して考えれば、ここは本来、物置として使用するための空間なのかもしれない。

そこに家具が三つだけ配置されていた。
小さめのチェストに、シングルサイズのベッド。堅そうな椅子。


そして、最も目を引いたのが……


「……天地、君?」


その椅子に座らせられた、人形のように動かない少年。

室内の暗さが原因かもしれないけれど、その肌は酷く青白く見えた。
首を落として目を閉じている。
静かに眠っているようにも見えるけれど、細い腕は椅子の背もたれにきつく縛り付けられていて……
僕にはそれだけで痛々しく感じられた。


(これは……)

「どういう状況か説明してくれないか?」

恐る恐るウェザーフィールド君のほうを振り返ると、彼はイタズラが成功した子供のように屈託のない表情で、クスクスと笑っていた。

「カワイイ寝顔やんなぁ」

「………」

「ショータクンな?昨日の夕方から、ずーっと眠ったままの眠り姫さんなんやで」

「………」

「拉致するときに使ったクスリの量。間違うてたんかなぁ」

「………」

「エヘヘ。失敗失敗」

ウェザーフィールド君はニコニコしながら天地君を縛り付けている椅子へ歩み寄った。
それから明らかに意識のない天地君の頬を人差し指でつついて、ウェザーフィールド君は不敵に口角を上げ、僕の顔を見つめて低い声を出した。

「氷上クン。……これから始める“復讐”の話やけど。たった一度しか説明せえへんから、ようく聞いてな」

「………」

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