天地と2nd love

□June bride(前)
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とあるサプライズをもくろんで、オレの部屋に天地を呼んだのに。
その天地と……ずいぶん長いこと、オレは言い争っている気がする。

「……天地」

「イヤだ」

「そんなに頑なに拒否しなくてもいいだろ」

「イヤだ」

「いや……そう言わずに。……エロカワしょうたん。今日もかわい……」

「絶対にイヤだ」

「…………」

(……参った。)

せっかく用意した婚約届けに、天地が名前を書いてくれない。

「ハァ……」

予定としては、こんなはずじゃなかった。
予定としては……

『結婚しよう!小悪魔しょうたん!!』

『うん!もちろんオッケー!!』

『そうか、よかった…!そうと決まれば、この婚約届けに名前を書いてくれ!ちなみにオレの分はもう全部書いてある!!』

『準備バッチリだね、先輩!えらいえらい!よーし、名前書きおわったよ!ね、先輩!さっそく役場に届けにいこっ!!』

『いや……ちょっと待ってくれ……!!』

『ん?どうしたの?』

『コレ……ペアリングだ…!!』

『えっ、本当に…?』

『ああ……しかも普通のペアリングじゃないぞ…!コレは、ペアコックリングだ……!!』

『さすが先輩!浮気対策はバッチリだね!うん、すっごくいい!気に入っちゃった!!』

『天地…』

『志波先輩…』

ここで情熱的なキス。そして……

『なぁ、しょうたん……おまえを嫁に貰う前に、言っておきたいことがある』

『なぁに?何でも言って?僕の志波先輩』

『いや……せっかくだから、歌にしてきたんだ』

『えっ?』

『伴奏を頼んである。針谷……出てきていいぞ』

『天地!オッス!』

『針谷先輩!志波先輩の部屋のベッドの下に隠れてたんですか?せっかくのヘアスタイルが台無しですけど、僕たちのために……ありがとうございます!』

『おぅ!このハリー様にここまでさせたんだ!ありがたく聴けよ!!』

『はい!ありがとうございます!』

『じゃあ、聴いてくれ……志波勝己で、関白宣言』

……と、とんとん拍子に進むはずだったのに。

(ハァ……)

「なぁ、天地…」

「ダーメ!何度頼んだって、ダメなものはダメ!」

「………」

(あぁ、参った……)

このまま天地が、うんと言わなかった場合。
ペアコックリングを用意して、関白宣言を覚えてきたオレの立場は……

いや、むしろ……
脅迫に近い形で無理やり関白宣言を弾けるようにさせて、しかも朝からベッドの下に押し込んである針谷の立場は……

(どうなるんだ…?)

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