すごいよ!勝己さん!!
□後悔先に立たず(後)
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「なんでっ…こんなことっ…」
ネクタイを取り上げると、志波先輩は僕の両手を後ろ手に縛りあげ、体の上に馬乗りになった。
背中で手首が潰されて、骨に痛みが走る。
「せ…先輩っ…、いやだっ…」
僕の抗議なんて、志波先輩は聞いていない。
荒っぽい仕草で自分の着ていたブレザーを脱ぎ捨てて、僕のワイシャツに手を掛けると、一つ一つボタンを外していく。
「やッ…やだよ、こんなの!僕っ…僕、授業に行かなくちゃっ…」
そう言って身をよじった僕に、先輩の動きが停止した。
「……授業。何のだ」
「えっ?……」
オレよりもその授業が大事なのかって聞いてる、と付け足して、志波先輩は眉を寄せる。
「…え…ええと」
これは……
に…逃がしてもらえるかもしれない!
僕は一筋の光を見た。
授業がいかにも大事そうな説明をくどくどとしてやれば、志波先輩は今日のところは諦めてくれるんじゃないかって。
僕は、それはもう夢中になって説明した。
「っ…美術の課外授業で写生に行くんです、班ごとに校内を移動してっ…中庭とかで気になる静物をひとつ決めてやることになってて!…じっ、実は僕、班長なんです!だからもう行かないとッ」
しかし懸命な説明の中で、志波先輩の目の色がみるみる逆の方向へと変わっていく。
「いっ……今の一年はそんないやらしい授業をしているのか!?課外授業で射精!?校内で!?気になる生物を好き放題…!!っ…ハァ…ハァ…」
「えっ…?」
「そ、そんなグループの班長なのか!?天地…ハァ…ハァ…、おまえ…とんだ淫乱だな…!そうと分かればオレは手加減しない…!!」
「えっ!?な、何言って…、う、うわっ…!?……」
僕は訳が分からないまま、ますます興奮した志波先輩に突然着ていたワイシャツを破かれた。
ボタンなど外すのももどかしくなったのか、ビリッと小気味いい音を立てシャツが引き裂かれる。
その事実に、愕然とした。