まずいよ!勝己さん!!
□性奴ゲーム(1)〜真嶋編〜
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一年前の卒業式……
僕は初めて、フラれた。
学校中の男子の憧れの的だった、彼女は……
今頃、何をしているんだろう。
男をアクセサリーのように取り替える、あの人……
夢中になった僕が馬鹿だったのか。
「ハァハァ……、おまえ……さっきスピーチしてた……」
「……ん?」
在校生代表のスピーチを終え、体育館裏で過去の失恋を思い返していた僕は……
人の気配に、顔をあげた。
目を向けるとそこにいたのは、なぜか興奮気味の男子生徒。
「ブルーのネクタイ……先輩なのか。そういうのも有りだな。いや、むしろ……ハァハァ……」
(……何だ。この子?)
ぶつぶつと、口の中で何か言っている。
とりあえず、ずっと僕のことを見ているようなので声をかけてみた。
「こんにちは。……閉めるんでしょ?ここ」
「いや……むしろおまえの大事なところを開きにきた……」
「え?」
「おまえ……卒業式より、開通式に興味はないか…?ハァ…ハァ…」
「………」
何だかわからないけど、変な子だな。
下級生か…?
「君、一年生?」
「ああ。志波勝己……」
「志波勝己くんか。うん、いい名前だね。僕の名前は……」
「真嶋太郎、だろ?」
「……え?」
「おまえ……自己紹介のとき、顔と名前にギャップがあることを気にしてるとか言ってるらしいが。俺はその名前……犬みたいでいいと思うぞ」
そう言って、彼は不敵に笑った。
「ハァハァ……おまえ。俺の犬にならないか…?ハァ……想像したら興奮してきちまった……」
……何言ってるんだ?
よくわからないけど不気味だな。
だいたい何でこの子は僕のこと知ってるんだ?
ああ……
さっきスピーチときに、名前を覚えたのかな?
フフ……それに、そうでなくても僕は、目立つからね。
はね学プリンスと呼ばれた男だ。
女生徒だけでなく、男子生徒が僕を認識していたっておかしくはないさ。
「ハァ……プリンスも良かったが、元プリンスも良さそうだな……」
「……!?」
こいつ……!
僕のことを元プリンスと言ったな!?
つまり、いまのプリンスは一年の佐伯瑛だと言うことか…!?
クッ…!
あいつが入学してきてから、僕はいつも二番扱いだ!!
許せないな、佐伯瑛…!
……って熱くなってしまったけど、佐伯瑛が“良かった”って何の話だろう?
フン……
まあ、いいか。
男子生徒に愛想振りまいたって、意味なんてない。
「じゃあ……」