まずいよ!勝己さん!!

□熱心な先生〜若王子編〜
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……やや、困りました。
また教頭先生に叱られてしまいました。

わかってます……僕だって、アレはよくないとわかっているんです。

僕のクラスの男子生徒に、一人。
気が付くと、下半身を剥き出しにしてブラブラ歩いている生徒がいるんです。

どう声をかけていいか分からずにしばらく黙認してきましたが、このままでいいはずがありません。

今日という今日は、先生らしく注意します…!

もうこれ以上、僕は彼に下半身露出状態で校内を歩かせたりしない…!
僕は、校内での下半身露出を許さない…!


そして昼休み。意を決した僕は、問題の彼の姿を捜しました。

「やや、あれは…」

それらしい人影を発見したのは、グラウンド。
下半身を露出し、中腰になって激しく腰を振っているその姿……間違いありません。

「……志波くん。見つけました」

「ハァ…ハァ……、先生……どうかしたのか…?」

チラリとこちらを横目に据えつつも、腰の動きを志波くんは止めない。

「そうですね……実はどうかしちゃいました。先生、君に話があります」

「オレに…?」

「はい。でもその前に質問してもいいですか?……志波くん。君はいま何をしているんですか?」

「……ああ。これは…」

志波くんは、キリッとした表情で言い切った。

「……バットの素振りだ。毎日やらないと、体がなまる」

「………」

バットの、素振り。

なるほど。
君のそれがバットで、いまは腰を振ってそれの素振りをしているということですか。

……や、先生やっぱりどう注意すればいいかよくわからなくなってきました。

彼の堂々たる様子を見る限り、後ろめたいことをしているという風でもないですし……

その行為が校則違反どころか法律違反であること、どう説明してあげればいいんでしょう…?

わかりません……
僕にはさっぱりわかりません。

けど、僕は先生ですから!
ここはひとつ、生徒の気持ちを尊重しつつ、正しい道に率いていかなければ…!

「……志波くん、素振りは楽しいですか?」

「楽しいというか、色々想像しながらやってると燃えてくる。いま想像していたのは温水プールで最初にウォータースライダーに乗ろうと言い出したアイツをプールに突き落としての水中ファックだ…!!」

「………」

「ハァ…ハァ…。先生も一緒にやってみないか?素振り。きっとすっきりすると思う」

「いえ…、先生はいいです」
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