名作パロ

□勃ってごらん
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氷上先輩はずっと泣いていて、しばらく何も話さなかった。

僕はというと、時間を気にしてちょっと苛々していた。
わざと悲しそうな表情を浮かべて、氷上先輩に目配せしてみる。

「少しは落ち着きましたか?先輩は、自分の中に溜め込んじゃうタイプだから……僕、心配だなぁ。ねぇ、氷上先輩。僕でよかったら、何でも話してくださいね」

志波先輩から散々“おまえ、本当に卑怯だよな…”と言われ続けた笑顔で、僕は微笑んだ。
早く帰ってもらいたい気持ちも手伝って、氷上先輩の手とか握ってみる。

「ね、先輩…?」

(時間もないし、話すなら早くしてほしい。そんな風にめそめそされても、何があったのか全然わかんないんし…)

「僕、秘密はちゃんと守りますから…」

(っていうか、志波先輩が来る前にシャワー浴びたいし、制服着替えたいし…)

「氷上先輩のことが、とても心配なんです…。お話してください」

(話をする気がないんなら、早く帰ってくれないかな。)

「僕じゃ、先輩の力になれませんか…?」

(あー、もうムリ。これで相手が折れなかったら、もう理由つけて帰ってもらおう。)

「あぁ……やっぱり僕じゃあダメなんですね…。氷上先輩のお役に立てなくて、すごく悔しいです……」

“残念だけど、相談相手が僕では不足のようなので、他に相談しやすい方を探してください。”

続けてそう言ってやろうと企みながら、僕が落ち込んだ表情を作ったときだった。
氷上先輩がぷるぷる奮えながら、顔をあげて言った。

「ほっ……本当に、君は何でも聞いてくれるんだろうか!?」

「え…?ええ…、もちろんですよ。お約束します」

「ならば僕は話そう…!君は話を聞いた後、絶対に断らないと、今この場で誓ってくれないか!?」

「えっ……えーっと…。そうですね……」

ちょっと考えたけど、大した内容ではないだろうと予測した僕は、微笑んで受けた。

「……もちろん誓います。男に二言はありません」



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