執事
□消エル。闇。
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『…!……ッ………!』
君の名前が 思い出せない。
『君は誰?』
「ねぇ、聞いてる?」
「あっ、うん。聞いてるさ」
小生は『君』の言葉で我に帰った。
「疲れてるの?」
「そうみたいだね」
月明かりの射し込む窓辺で
二人で話していた。
「もう寝ようか?」
そう言いながら
君は真後ろにある椅子に座ろうと後ろに下がった。
「、待って……!」
「え……何?」
小生は君の腕を掴んで、抱き寄せた。
「何か、あったの?」
「君が、闇に消えてしまいそうで―――」
怖かった。
名前も知らない『君』
闇に消えた
小生の記憶。
君は、小生を知っている。
小生は、君を知らない。
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