you

□you
1ページ/1ページ




君は逝ってしまった
本当の心を知らないまま。








凪月、今年もやっと雪が降ったよ



もう少しだけでいい
もう少しだけ早く、降って欲しかったんだ。



楽しそうに雪の中で遊ぶアイツが、どうしても見たかったのに。


















始めたのは、凪月だった。

俺はただ、それに付き合ってやってるだけだった。





凪月が生きられる3年間を、3年くらい、そう思って
凪月の為に生きようとした。




好きだと言われたから、俺も好きだと言った。


愛してると言われたから、俺も愛してると言った。


付き合おうと言われたから、俺達は恋人になった。




「―――――蓮」




なのにそう言って、あんまり楽しそうに笑うから





俺は錯覚していた。



 君は去り際に云った。



 「知ってたよ。蓮の言葉が、ホントじゃなかったって」





君は気付いていないと。


俺が口にした言葉を信じて疑わないと。






あぁ、違うんだ


今更気付いたってどうしようもないけど。








俺が放ったその言葉は、いつしか意味を持つものになっていたんだって



アイツが俺を必要としていたんじゃない、俺がアイツを離さなかったんだって




何故云わなかったんだ、伝えなかったんだ

君がまだ此処に居るうちに





あぁ、違うんだ



嘘なんかじゃなかったのに













真っ白なシーツに、一つの雫が染みを作った。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ