you
□you
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君は逝ってしまった
本当の心を知らないまま。
凪月、今年もやっと雪が降ったよ
もう少しだけでいい
もう少しだけ早く、降って欲しかったんだ。
楽しそうに雪の中で遊ぶアイツが、どうしても見たかったのに。
始めたのは、凪月だった。
俺はただ、それに付き合ってやってるだけだった。
凪月が生きられる3年間を、3年くらい、そう思って
凪月の為に生きようとした。
好きだと言われたから、俺も好きだと言った。
愛してると言われたから、俺も愛してると言った。
付き合おうと言われたから、俺達は恋人になった。
「―――――蓮」
なのにそう言って、あんまり楽しそうに笑うから
俺は錯覚していた。
君は去り際に云った。
「知ってたよ。蓮の言葉が、ホントじゃなかったって」
君は気付いていないと。
俺が口にした言葉を信じて疑わないと。
あぁ、違うんだ
今更気付いたってどうしようもないけど。
俺が放ったその言葉は、いつしか意味を持つものになっていたんだって
アイツが俺を必要としていたんじゃない、俺がアイツを離さなかったんだって
何故云わなかったんだ、伝えなかったんだ
君がまだ此処に居るうちに
あぁ、違うんだ
嘘なんかじゃなかったのに
真っ白なシーツに、一つの雫が染みを作った。