捧げ物
□お化けなんてっ!
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三人が来た遊園地は子供向けと言うより大人向けで、絶叫系のアトラクションばかりが立ち並んでいる。その中でも一番力を入れているのかお化け屋敷の大きさは尋常ではなく、本物の屋敷仕様になっていた。
そして、スタッフ専用の控室に入れば、普段の従業員と館長が待ち構えていて。
「待ってましたよー。さぁさ!これに着替えて」
「どうも…」
館長に渡されたのは白に赤のペイントが施された着物。
「暁?大丈夫か、と」
「………」
余程怖がっているのか、顔面蒼白で無言のまま着替えを始める。
着替えと特殊メイクを終えて控室で待っていれば、館長とルードが控室に入って来る。
「ツォンさん」
「ル、ルードι」
「なんだよ、とその姿!!…っダメだ笑えるぞ、と!」
ゲラゲラと腹を抱えて笑うレノと、必死に笑いを堪えるツォンが見たルードの姿は白い着物ではなく、地蔵の着ぐるみだったのだ。
「笑うな」
「そいつぁ無理だぞ、と。お前似合いすぎ」
まぁ、スキンヘッドのルードだからこそ出来る役であって正しく適任である。
「俺は気に入っている。問題ない」
「あそι」
「それじゃあ、場所だけどレノ君にはこっち。Aブロックを頼むよ」
館長の広げた地図を見てみると屋敷の中もかなり広くいくつかのブロックに別れているようだ。
「ルード君はここ。Cのこの位置ね」
「………」
「ツォンさんはこっちのFブロック」
「わかりました」
「暁君はGブロック。ここね」
「あぁ…暁は……俺と一緒じゃダメなんですか、と」
「うーん…ウチは広いからバラバラでお願いしたいんだよ」
「はぁ…」
ちらっと暁を見ればさっきよりも顔色が悪く、立っているのもやっとの状態でフラフラしていた。
正に倒れる10秒前だ。
「それじゃ頼んだよ!今日は五周年記念でお客さんいっぱい来るから!」
「暁?」
「………」
「もしもーし」
「え、あ、何?」
「大丈夫か、と」
「ガンバルヨ」
暁はフラフラと自分の持ち場へ歩いて行った。
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