捧げ物

□贈り物をしよう!
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「おかーさん!いつもありがとう。はい!プレゼント!!」
「まあ綺麗なお花ねぇ!」
「こうえんに咲いてたんだよ」

サイジェントに住む親子だろう。男の子が小さな両手いっぱいの花束を持って、母親の元へ走って来たのを見かけたのはキールと二人で商店街に買い物に来た時だった。

「ほほえましいな」
「平和になった証拠だね」
「本当にな」


「それじゃあ、お礼に…ハイ!」
「わぁ!おかしだ!!うわーい」

母親からクッキーの詰められた袋を渡され男の子は嬉しそうに跳びはねる。

「はは…お菓子であんなに喜んでる!小さい時って飴一つでも親から貰うと嬉しいんだよな」

俺も何か欲しいが為にいい子で居ようって頑張ってたもんな。

「キールもそう思わない?」
「え?僕は…ごめん、よくわからない」

眉をハの字に寄せて困ったように笑うキールを見て、なんて無神経な事を聞いたんだと自分に腹が立った。

「ごめん。俺、無神経だった…」
「気にしないで。僕なら大丈夫だから」
「うん」

キールの俺やみんなと出会う前、派閥時代の頃を考えれば、誰かから何かを貰う事なんて無かったんじゃないだろうか…。
ましてや親であるオルドレイクなんかからなんて……。



その日の夜。俺はずっと考えてた。誰かから何かを貰う嬉しさをキールにも知ってもらいたい。
でも、どうすれば……。
……そう言えば俺、キールと付き合い始めてもプレゼントなんてした事なかったな…。
よしっ!喜んでくれるかどうかは別として!キールに何かプレゼントしよう!!
恋人なんだしな////
そうと決まればさっさと寝なくちゃ!

明日のサプライズを楽しみにしながら俺は眠りについた。



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