その記憶の自分は寺子屋みたいな場所に通っていて、丈の短い着物を着ているのが一杯いた。 自分も丈の長さこそ違うけれど同じ仕立てのものを着て、手習いを受けていた。 友人と話題に上がっていたのは本の話や『あにめ』とかいう話が多かった。 その中でも気になったのは友人から進められた漫画だった。 十年以上の長期連載漫画で幾度かアニメ化もされている原作本だった。 その巻数は週刊少年誌に掲載されている事もあり、数十巻以上出ていてその中でも好きな過去編についての話が載っている巻だった。 家に帰り、借りた本を読んでいると近視感がよぎった。 そこに描かれていたのは数日前に自分が体験した事柄と酷似していたからだ。 登場人物の名前も、自分や松陽につい最近知った名前があった。 混乱する頭の中でポンッと理解したこと。 それはこの記憶は自分の前世での事ではないか?そこまで思い出してふと我に返る。 ─あれ、この漫画のタイトルって銀魂じゃね? 坂田銀時って主人公の…って、俺か!?─ 頭の中で聞こえる声は自分の声なのに違和感を感じる。 女の人のような感じがする声。 自分の声ってこんなだったかと思い、声を出すと今度は違和感はなかった。 聞いたことのない筈なのに聞き覚えのある声は、過去の自分の…つまり前世の自分の声だと気づくのに数分かかるのだった。 ─第二訓へ続く─ |