雨の白玉(短編小説置き場)

□天使と悪魔のはかりごと
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ピーーーンポーーーン…






自分の家なのに一応、なんとなくインターフォンを鳴らす。







「ただい……ぐふぅぁっ!?」





「「「おかえりなさーいっ!壮一郎くん!!!」」」





玄関を開けた瞬間、強烈なボディブローをくらう。

いや…、3人の妹たちが鈴なりになって俺の腹に抱き付いてきたのだ。





「お…お前ら、毎度毎度3人でタックルしてきやがって…俺を殺す気かっ!?」




擦り付いてくる3つの頭を何とか1つずつ撫でては引き離す。



「壮くん……久し振り」


末っ子の四季がはにかんで離れる。

人見知りする四季は家族以外の男が苦手だ。




「背が伸びたな…四季」



艶やかで真っ直ぐな黒髪を撫でると四季は嬉しそうな笑顔をみせた。





「壮ちゃん、なかなか帰って来てくれないんだもんっ!寂しかったよーっ☆」




甘えん坊で我儘な真ん中の妹の三月。
いつもストレートに自分を表現する。




「また三月は…そーやってオフクロ困らせてんじゃねーだろうな?」




クシャクシャと乱暴に三月のネコっ毛を撫でる。




「壮一郎がオフクロだって〜?ついこないだまで母さんって言ってたのにさ。
てゆーか、壮一郎ちょっと痩せたか?」



俺の腰を無遠慮に触ってはケラケラ笑うのは一番上の双葉。


年が近いからか、俺に似た男言葉に育ってしまった。




「こら、双葉。呼び捨てにすんなっていつも言ってんだろーが!」




額にでこピンをかますと涙目で擦って唇を突出す。




「なっ…なんだよ〜!?三月や四季と扱いが違うじゃないかっ!?ずるいぞっ!?」




さらにキツくしがみつかれ、玄関先で押しくらまんじゅうになる。




「いいからお前ら…ちょっと離れろ…って、動けんだろーがっ!」




俺が怒鳴ると、奥からパタパタとスリッパの音がする。





「あらあらあら。賑やかだと思ったらやっぱり壮ちゃん。
……おかえりなさい」





「はっはっは。お前達、壮一郎が困っているぞ」





「はーーいっ☆ねぇ壮ちゃん!いつまで居れるの!?」





はしゃいで俺を引っ張る三月に応える。




「ん〜…、明日までだな」





「…………短い」





ぽつりと四季が悲しそうな呟きを漏らす。





「仕方ねーだろ?また仕事なんだから」





優しく四季の髪を撫でると嬉しそうに目を細める。




「じゃあ壮一郎!今日はいーーっぱい遊ぼう!早く早く!」




俺の腕を引く双葉の前に三月と四季が立ち塞がる。




「その前に………」



「あ、いっけね!忘れてた!」





「はい、壮ちゃん☆」





3人が俺の前に並んで腕を広げて目を閉じる。




…まさか。






「「「はい、壮ちゃん。ただいまのちゅーは???」」」







 
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