雨の白玉(短編小説置き場)

□天使と悪魔のはかりごと
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「マジで勘弁してくれ…」




深い溜め息が漏れる。

一体、何がいけなかったのだろう…。




小さい頃から俺があれこれと世話を焼き過ぎたのがいけなかったのか?




「はい、壮ちゃんあーんして」



「ずるい。壮くん……こっちも」





「美味しい?壮一郎…はい、あーん」




仏頂面の俺の口へ次々と食べ物が押し込まれていく。



つーか、親も止めろよ!笑ってないで!!




「お前らさ、いい加減に彼氏とか作れって!今時の小中学生なら彼氏ぐらい当たり前だろ!?」





「………やだ」



「え〜、そんなのいらな〜い」




「無理に決まってんじゃん」




「…………なんでだよ」




「「「壮一郎くんよりカッコいい男の子なんていないから」」」




「…………………」




迷いなくきっぱりと綺麗にハモった3重奏に言葉も出ない。




「あ……そうだ。明日、みんな家に居てくれよ?」





「あら……壮ちゃん、どうかしたの?」




「いや……ちょっと、紹介したいやつが…いるんだ」





「あら、壮ちゃんにもついに彼女ができたのかしら?うふふ…」







その言葉に妹達の箸が落ちる。






「いや、そうじゃなくて例の事件の…て、お…おい?お前らどうした…?」







「……信じられない」





「……は?」





「壮ちゃん!!どこのメス猫にたぶらかされたの!?」




「はいいいっ!?」





「許せねぇ…。壮一郎にあんなことやこんなことを……」





「ちょ、お前ら?」






「面白いじゃない…☆のこのことやってくるなんて、明日は血祭りだよっ!」





「阿呆かっ!!男だ男っ…!お前ら何考えてんだ!」






「あら…そうなの?残念だわ……」





「ホントに?壮ちゃん!」




「男なの……?」




「彼女じゃないんだ…?」




「当たり前だろ!?ったく……ごちそーさま………」





「あら?壮ちゃんもういいの?」




「ん……風呂、入る」





「そうか。ちょうど1番風呂だぞ。先に入りなさい」





重い足取りで風呂場へ向かった。



 
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