雨の白玉(短編小説置き場)
□天使と悪魔のはかりごと
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「ふう…………」
風呂に浸かって疲れを癒す。
しかし…なんだって3人ともあそこまで俺に懐くんだ。
おかしいだろ?普通…。
「も……さっさと今日は寝よ」
シャワーを捻って頭からたっぷりと湯を浴びる。
「ん……?シャンプー……どこだ?」
宙を彷徨う手にボトルが渡される。
「はい、壮ちゃん☆」
「おう、さんきゅー三月。気が利くな…って、おいぃっ!?」
「壮くん……四季が洗ってあげる」
「なっ……!?四季まで!?」
「ほらほら、壮一郎…目に入ると痛いよ?」
「双葉!?お前ら一体何してんだよ!?てゆーか、何か頭が…スースーする」
「あ、わかる?最近親父が使ってる育毛シャンプーだよ。
壮一郎もそろそろ生え際とか気になるだろ?」
「なるかっ!俺はまだ18だ!」
「そぉか〜?でも、この辺とか……」
「つーか、何で一緒に入って来てんだお前らーーっ!!」
「だって〜。壮ちゃんと久しぶりにお風呂に入りたいんだもん☆」
「だもん☆じゃねえっ!三月、お前もう中学生だろうが!」
「壮くん………ひっく、怒るの…?……ぐすっ」
「ああっ!四季…泣くなよ」
「ひっ……く、…じゃ、…一緒に、入っても…いい?」
「わかった!わかったから泣くな!……な?」
「うん……。じゃあ四季が壮くんの頭……流してあげる」
「え……?あ…お、おう」
「ずるーいっ!じゃあ三月は壮ちゃんの身体流すっ!」
「いや…あの、お前ら……」
「壮一郎…前よりも筋肉付いた?うっわー、なんか男の身体って感じ…」
「こらっ双葉!?あちこち触るんじゃねえっ!
お前もうすぐ高校生だろうが!もっと慎みってもんをだな…」
「あはははは壮一郎ってば何言ってんの。こないだまで一緒に入って身体洗いっこしてたじゃん」
「それは…!4年も前の話だろうが!!」
「うちらもだいぶ成長したよ〜?なっ!三月?」
「うんっ☆壮ちゃん、見たい?」
「………見たくねぇ。つーか、見せられても俺が困る」
「困る………?何で?壮くん…」
「聞くなよー、四季。男にはイロイロと事情があるんだって」
「双葉!?四季に余計な事教えるんじゃねーぞっ!?四季はまだ小学生だろ?」
「四季……来年は……中学生だもん」
「ああっ!?俺が悪かったから!だから泣くなーーっ!?」
「ったく、壮一郎は煩いなあ…。こうすればいいんじゃね?」
「あ……双葉ちゃんナイス☆」
「え……?おい」
「壮くん……動いちゃ、ダメ」
「何で俺がタオルで目隠しされなきゃいけねーんだ?これ明らかにおかしくね??」
「ま、いーからいーから!身体もちゃーんと洗ってやるって!スミからスミまで…な」
「お……おい双葉?お前、何で…そんなエロ親父みたいな声…
……コ。コラっ!?触んなって、オイ!?」
「ずるーいっ!三月も☆」
「四季も………」
「や……やめろ!コラっ!?」
10分後……。
全身つるつるのぴかぴかになった姿で壮一郎はぐったりと湯船に身を沈めていた。
「……狭いぞ」
「昔は4人で入っても余裕だったのにね☆」
「おい…あんまくっつくなって!」
「あ…じゃあ四季は壮一郎の膝の上でいいんじゃね?」
「よくねーよっ!ってこら、四季もマジで乗んなって…」
「これでちょっと楽になったね☆」
「いや……三月。だから何でそんなくっついてくるんだよ?
「も…もういい加減にしてくれえええっ!!」
「…あんなに嬉しそうなあの子達…久しぶりですねぇ」
「そうだな……」
ほのぼのとお茶をすする両親の耳に壮一郎の悲鳴が木霊した…。