雨の白玉(短編小説置き場)
□天使と悪魔のはかりごと
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「………お前ら、いい加減に俺の服を返せ」
明くる朝。
いつまでもパジャマ姿の不機嫌な壮一郎は妹達にじりじりと凄む。
「だ〜め!壮ちゃんの服はコレ☆」
「着ないと……いつまでもパジャマのままだぞ?」
「壮くん………着て」
服を隠された壮一郎の目の前には…もう二度と着ることはないと思っていた、執事服。
「お前らなぁ…何だって家でそんなもん着なきゃいけねーんだよ?普通におかしいだろ!?」
「だって、壮ちゃんいっつも不良の役ばかりなのに、事件の時は執事役だったんでしょ?」
「そりゃそーだけど。コレと何の関係があるんだよ」
「「「見たいから!!」」」
「………………」
「それに壮ちゃんなら絶対カッコいいって!三月写真に撮るもん☆」
「んなことねーって!館に居る間も似合ってなかったし」
「いやいや、壮一郎なら似合うね!
こないだ友達と行った執事カフェにだって壮一郎ほどのレベルは居なかったし…」
「双葉!?お前そんなとこ行ったのか!?」
「壮一郎がソレ着て勉強見てくれたら…もう行かないんだけどな〜?」
「くそ………」
期待に満ちた妹達の視線。
「…………わかった、よ」