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□拍手お礼(雨格子)その1
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「ひ、日織!拍手がもらえたよ」




日織
「良かったですね、和さん」








自然に、和の腰に手を回し頭を撫でる。







暗石
「…ナチュラルにセクハラだな」


日織
「何を言ってんですか?
ここは『俺達』がメインなんですから、椿さんのような無粋な横やりは止して下さいよ」




暗石
「あれ、そいういや執事の姿が見えねぇな。
アイツならこういう時に真っ先に突っ込み入れんのに」






「そいういえば椿くんいないね。
何処いったんだろ?」




日織
「あぁ、それでしたら椿さんが最近体が鈍って仕方がないってぼやいてたんで、那須さんに面倒をお願いしときました」



暗石
「……。
何でか妙にお前さんから黒いオーラが見えるんだが、気のせいか?」




日織
「オーラの色が分かる様な才能をお持ちなら、俳優より向いてて儲かる職業紹介しますよ」



暗石
「とりあえず、俺はここに来てくれた心底有難てぇ客人に礼を言ったら、さっさと退散するとするよ」



日織
「ヤニ切れですかぃ?」



暗石
「いや、単に自己保身の為だ」



日織
「さすがに察しがよくて助かります」




「ねぇ、さっきから僕、会話についていけないんだけど…」



日織
「ああ、和さんはそのままで良いんですよ。
存在そのものが既にこの世の女性の心を浮き上がらせ、ある種の暗黒世界へと誘う超越した存在なんですから」





「それって誉められてるのかな」



暗石
「ぼうず、もっと色々疑問は持った方がいいぞ。そのうち体まで…」





鋭い眼光が暗石を突き刺す。





暗石
「それじゃ、俺はこの辺で。
拍手しに来てくれて有難うよ。運が良ければまたどっかで会うかもな」





そう言って暗石はジッポで銜えたタバコに火を付け、紫煙の糸を吐き出し、片手を上げて去って行った。




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