雨の白玉(短編小説置き場)

□伝わる想い
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「…というわけでね、今夜一番危険なのは椿くんなんだと思う…」

「…マジかよ」

和の申し出はとんでもないものだった。

「それでね、やっぱり1人にならない方がいいと思うから今夜は僕達が一緒に付いてようと思うんだ。」


「僕達って…」

「僕と日織」

「ちっ…あの野郎もか。」

「??どうしたの、椿くん?」

「いや、なんでもねーよ。」

「??
じゃあ、この後日織も来るから」

「和さん、お待たせしました」

にっこり笑って日織が入ってくる

「使えそうなもんは大抵片しときましたぜ」

「ありがとう、日織」

「よぉ、和。1つ俺から提案があるんだけどよ…」

「どうしたの?椿くん」

「今夜、狙われるのは俺なんだろ?
てことは、犯人は俺に接触してこようとするよな。
じゃあ逆にそこを待ちかまえて、捕まえるってのはどうよ?」



「それは…そうかもしれないけど…」


「和の推理通りなら、今夜防いでもまた明日以降も続くんだろ?

それなら、今日ヤマはって終わらせてやらねーか?」



「うん。…でも、危なくない?」


「和ならな。でも、そっちの兄さんならどうよ。
結構身体、鍛えてるんだろ?」


「まぁ、人並みには」

「じゃあ、こうしようぜ
兄さんが廊下に身を隠して、怪しい奴が近づいてきたら捕まえる。
和は万一のことを考えて、俺とここで待機。まさか犯人も二手に分かれて守ってるなんて思わねーだろ」

「それは…そうかもしれませんがね…」

「それとも…兄さんは和を直接危険に晒す様なマネできんの?」

「……俺が行くしかありませんね」

日織は溜め息を吐く。

「むぅ。どうせ僕はひ弱だよ」

和は1人でいじけていたから
椿がこっそりとほくそ笑んだのには気がつかなかった。





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