雨の白玉(短編小説置き場)
□揺れる想い
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「…ねぇ、日織。本当にここに降りなきゃダメ?」
「俺が降りても良いですけど…
和さん、俺を引き上げられそうですかぃ?」
「えっ?日織を…?」
改めて見ると背は僕より頭一つは高いし、細身なのにしなやかな筋肉がついた身体は正直、ちょっと羨ましかった。
二の腕あたりをペタペタと触ってみる。
「えっ!? な、和さん?」
日織は何故か目線を逸らしながら、身じろぐ。
「あ、ごめん。くすぐったかった?」
「いや…そうじゃねぇんです。
気にしないで下さい。
俺、縄取って来ますね」
日織は僕のを顔を見ないように早口で言うと、館へと引き返して行った。