NARUTO 短編
□身勝手なふたり
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「あれって…サスケ?」
ある帰り道、オレは見てしまったのだ。
「ほら、持ってきたぞ」
ダンボールに入れられた黒猫にえさをやる彼を。
猫がえさを食べ終えるまで、サスケは静かに見つめていた。
食べ終わると、とてもサスケとは思えないほどやさしい手つきで抱き上げた。
「チュッ」
(…え?)
なんとサスケが黒猫の鼻にキスをしたのだ。
それから何度か愛しそうになでて猫の入れられた段ボールを後にした。
サスケが見えなくなってからようやく我にかえって、そっとダンボールに駆け寄る。
黒猫はオレを見ておびえた様子だったが、やさしく頭を撫でるとなついてきた。
華奢な体に捨て猫とは思えないほど毛並み良く生えた黒い毛。
小さな顔に黒く深い瞳がふたつ。
(ヤバイってばよ…)
家に帰って、ラーメンのお湯を沸かす間にミルクを用意した。
「ほら、サスケ。ミルクだてばよー」
やってしまった。
一度サスケにそっくりだ、なんて思ってしまったから、もうたまらない衝動に駆られ家まで連れてきてしまった。
「おいしい、サスケ?」
しかも名前までサスケなんて付けて。
我ながら恥ずかしすぎるってばよ…
ミルクを飲み終わったサスケは眠くなったのか、オレの足にゴロゴロとまとわりついてくる。
「もー、かわいいやつだってばよぉ」
たまらなくなって、抱き上げてキスをした。
「…あ、」
勝手に連れてきてしまったが、よく考えたら明日サスケはいつものように様子を見に行って猫がいなかったら心配するのではないか。
あんなにかわいがっていたのだ。
もしかして必死なってに探しに行くかもしれない。
「ニャー」
かと言ってもう猫を手放せそうにもなかった。
「しょうがないってばよ…」