NARUTO 短編
□ふたり
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・現代、高校生サスナル
「サスケ、昼飯食うってばよ」
「……」
「でさでさぁ〜」
「うわっ、それうまそ!」
「お前らうるせぇぞ、ったく」
正直この空間、頭痛が起こる。
ナルトが無理矢理連れてくるとはいうものの、さすがに頭が割れる。
それに、オレのことを全く気にしていないのはナルトくらいのもので、キバとシカマルはオレがここにいることが不思議でならないという様子だ。
そりゃあ、こっちだって「どっか行け」って言われるように、昼飯だけさっさと食って、あとはイヤホンつっこんで教科書ひろげるなんてベタな真似をしているんだから、あたりまえだ。
それでもまだ何も気にする様子のないあいつの脳ミソには、お手上げだ。
「あ、ヤベっ」
ふざけたキバがジュースをこぼしたのを、笑いながらナルトがふく。
なんだか急にイライラしてきた、携帯をとり出した。
“もうオレのこと誘わなくていいから。”
数秒後に、ナルトのポケットが揺れる。
「ん?」
「メールか?」
「おう、えっと…」
「誰から?」
オレは何も知らないふりをして、教科書に目をやる。
「あっ、結城さんだ」
「結城さん?」
オレも驚いて一瞬だけナルトを見ると、不敵な笑み。
「バイトの先輩だってば。この前アドきかれて、勉強とか見てもらったんだってばよ」
「へ〜。勉強教えるとかすげぇな」
「そうなんだってばよ。頭よくって、その上見た目もかっこいいんだってば」
「ふ〜ん。まあお前、見方によってはかわいくなくもねぇからよ。あと、お人好しだし。気をつけた方がいいぜ」
「なんだってばよ、それ〜」
ーーガタン、
3人が一斉に振りかえる。
「…トイレ行ってくる」
「あ、じゃあオレも」
なんとなく目が合わせられずに返事もしないでさっさと行くと、案の定ナルトは後ろからついてきた。
昼休みの微妙な時間のせいか、薄暗い男子トイレには誰もいない。
「サスケ、」
「あのな」
「ん?」
「なんだよ、結城さんて。お前、あんなの誰が信じると…」
「サスケはウソだって言い切れるんだってば?」
「お前がバイトやめたのなんて知ってる」
「みんなは知らないから平気だってばよ」
「だいたいな、昼だってオレは別に、」
「あ、誰か来るってば」
狭い用具室に入ってから、べつに隠れる必要もなかったんじゃないかと、ため息をつく。
まあいいか。
そっと唇を合わせる。
このスリルがこいつには堪らなく楽しいらしいが、オレはごめんだ。
4限のチャイムが鳴るまでは、
このままだ。