花言葉シリーズ
□くちなし
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こんな幸せでいいのかな。
こんなにも温かくていいのかな。
今も1人ぼっちで苦しんでいる人がたくさんいるのに。
自分だってちょっと前まではそうだったくせに。
こんな幸せでいいのかな。
「…ナルト?起きたのか」
少し顔を上げると、黒い瞳がふたつ。
「うん、おはよってば」
サスケが返事のかわりに、額に優しくキスしてくれた。
背中に回された腕や、目の前の胸からサスケの体温が静かに伝わる。
すごく温かくて、幸せ。
「…サスケ」
オレは2人の間に置かれていた手を、ゆっくりとサスケの首に回した。
オレもお礼にサスケの頬に唇を押しつけると、サスケがまたオレにキスをした。
「…っ、ん…っ」
サスケの舌がオレの歯茎をなぞる水音と、少し上がった息だけが聞こえる。
「…ナルト、愛してる」
こんなにも温かくていいのかな。
今も悲しみに嘆く人がたくさんいるのに。
自分だっていつそうなるかも分からないのに。
確かに今、
“ーーーーーーー”
(くちなし)
→私は幸せ