NARUTO 企画
□きみのとなり
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「今日、サスケの誕生日だってばよ」
ナルトがぽつりとつぶやいた。
「えっと…7月23日?」
「うん」
隣に座るナルトをちらりと見たが、小さな焚き火に照らされた横顔からはなんの感情も読み取ることができなかった。
今はカカシ先生抜きの第7班での任務で、今夜は森の中で野宿をしている。
サクラが寝ている間、僕たちは見張りというわけだ。
「毎年、なにかしてたの?」
「へ?」
ナルトが驚いたような声を出す。
「いや、仲のいい友達同士は誕生パーティーをしたり、プレゼントを贈りあったりすると本で読んだことがあるから」
「べ、別にそんなじゃないってばよ」
焚火の明かりのせいか、ナルトの頬が少し火照ったように見えた。
「…ただ」
「ただ?」
自分が思わず聞き返していたことに驚いて、あわてて口を閉じる。
「サスケが行っちまう前にさ、渡そうと思ってたのがあるんだてばよ」
いつの間にか小さくなった火をナルトが木の枝でつつく。
「オレってばいつも意地張ってばっかで、上手く祝ってやれなかったからな」
「そう…」
「だからオレってばアイツに会ったら、あの時の金返せて言ってやるんだってばよ。そんで、一楽のラーメンのチャーシュー大盛りおごらせてやるんだってばよ」
ニシシと焚き火に向かって笑みを浮かべる。
「もしかして、そのプレゼントまだ持ってるとか?」
ナルトが振り返り、驚いた表情で僕を見つめる。
「あ、ごめん。なんとなく思っただけだから」
ナルトは、何か言おうとしたが口をつぐんだ。
(ああ、なんだろうこの気持ちは)
「じゃあ、早く渡さなきゃだね」
僕が笑いかけると、ナルトはまたいつもの笑顔に戻った。
「おう」
隣でこうして同じ時を過ごし、同じ景色を見ているのは彼ではないのに。
ナルトのその笑顔が僕に向けられることはないのだ。
そう、絶対に。
少しだけ、きみのとなりを
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