NARUTO 短編
□real
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「…ケ、サスケ!」
驚いて振り向くと、シカマルだった。
「どうした。早くメシ行くぞ」
他のメンバーはすでに教室を出るところだった。
「ああ」
まだはっきりとしない頭を掻きながら立ち上がる。
「…サスケ、お前ー」
「おい、シカマル!サスケ!いつまでチンタラやってんだよ。置いてくぞ」
キバが廊下から怒鳴る。
「今、行く」
シカマルが何か言いかけた気がしたが、振り返ってもそっぽを向くだけだった。
放課後、いつも決まった時間にメールが届く。
「いつもの玄関で待ってるってばよ」
ケータイにはバイブが設定されているはずなのに、このメールはいつも知らない間に届いている気がする。
「ナルト」
「サスケ!」
金色の髪がふわりとはねる。
嬉しそうな笑顔。
「帰ろ、サスケ」
「あのね、サスケ。今日の3限は自習だったんだってばよ。ちょー、ラッキー」
「席替えしたらサクラちゃんとサイが隣になって、サクラちゃんなんてすんごいご機嫌ななめだったんだってばよ〜」
嬉しそうに喋り続けるナルトに小さく笑った。
信号が赤に変わった。
そういえばナルトは今日も赤のパーカーだ。
いつもは学ランの下に黄色とオレンジと赤を交互に着ているはずだった。
前髪を止めているピンもいつもしているわけではなく、寝癖がひどかったからと眠たそうな目で話しているのを聞いたような気がする。
でもそれは今朝だったか?
そうではなかった気がする。
じゃあ、あれはいつだった?
分からない、思い出せない。
信号が青に変わったのか、ナルトは横断歩道を歩き出す。
オレもその背中を追う。
「…ーサスケっ!!」
勢いよく後ろに引っ張られる腕。
耳に響くクラクション。
走り出す車。
「……っ?」
横断歩道の向こう側にナルトの姿はなかった。
「サスケ、お前まさかとは思ってたんだが」
ようやく掴まれた腕の先にシカマルがいることに気づく。
「ナルトは死んだんだぞ」
死んだ?
死んだだって。
なんだよ、死んだって。
なにを言っているんだ。
プップーー
交差点の向こう側でクラクションが鳴る。
歩道に乗り上げた車。
人の叫び声。
倒れた高校生…。
確かにあのとき、オレの隣にはナルトがいたんだ。
君は今でも笑ってる。