NARUTO 短編

□身勝手なふたり
2ページ/2ページ




「腹すいただろう」

見上げるとサスケの顔があった。

「ん?」

(やばい、やっぱ気付かれたかな)

「おまえ…」

(あああ、もうだめだってばよぉ)

「…」

黒猫のサスケと同じ黒い瞳にじっと見つめられる。

いや、黒猫のサスケがこっちのサスケに似ているんだってばよ。

(うっ)

「…なんでもない、早く食えよ」

いぶかしげにオレを見つめていたサスケは、何事もなかったかのようにえさを差し出した。

(よかった!ばれてないってばよ)

胸をなでおろしてニャーと鳴いてみせると、サスケは少し笑った。





「ねえ、サスケェ」

ベッドの下にもぐりこんだ黒猫サスケを抱き寄せる。

「サスケはほんとに気づいてないんだってば?まあ、オレとしては気づいてほしくはないんだけど。だって気づいたら絶対サスケのこと心配するし。でもなんかさ…」

ニャー、とサスケはめんどくさそうに鳴いた。

「はは、サスケばっかで何がなんだかわかんなくなっちまったってばよ。」

ニャー、ニャー。

眠そうに目を細めるサスケの額にキスをすると、スースーと寝息を立て始めた。





「なあ、お前の飼い主ずっと見つかんねえな。」

いつものようにやってきてオレの頭をなでながら、サスケはつぶやいた。

「もう少ししたら、寒くなるな。よし、家に来い」

(え、えっ!?えええええ)
必死にサスケの手から逃れようとするが、しっかりと捕まれ逃れようがない。

(どうなってるんだってばよ!?)

慌てふためいている間に、ついにサスケの家まで来てしまった。

(ううううう、もうだめだってばよ)

半泣きでオロオロとしていると、再びサスケに抱き上げられる。

「びっくりしたのか?」

そう言って、あの時と同じようにオレの鼻の頭にキスをした。

それだけじゃなく、まぶたや耳、お腹にまでキスをし始めた。

(な、何してるんだってばよ!)

ついにサスケが口にキスをした瞬間、

ボンッ!

「な、ななな何するんだってばよ!」

「それは、こっちの台詞だ」

「なに言ってんだってばよ!く、口にまでキスするなんて、どういう…って、え、あ…」

「猫に変化までしてオレを騙そうとしてたくせに、何されたって文句言えねえだろ」

ようやく自分の変化が解けてしまっていたことに気づいて、顔が赤くなる。

「あ、あのな、サスケ。これにはふかーい訳があるんだってば…」

「なんだ、お持ち帰りされるためにやってたんじゃなかったのか」

「お持ち帰りって、意味がわかんないってばよ!ん?…あのさ、」

「なんだ」

「もしかして…、知ってたってばよ?」

「お前があの猫にサスケって名前つけて飼ってるってこともな」

「お、お前ってば!///」

「ふ、このオレを騙そうとした上にこんなとこまでついてきたんだ。覚悟はできてんだろうな」

「え、ちょ、ま…」

「何なら、猫耳と尻尾だけは残しておいてもいいんだぜ」

「ひ、ひいぃぃぃ!!!」








その後、黒猫サスケさんは2人の間で大切に育てられましたとさ。



前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ