NARUTO 短編
□身勝手なふたり
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「腹すいただろう」
見上げるとサスケの顔があった。
「ん?」
(やばい、やっぱ気付かれたかな)
「おまえ…」
(あああ、もうだめだってばよぉ)
「…」
黒猫のサスケと同じ黒い瞳にじっと見つめられる。
いや、黒猫のサスケがこっちのサスケに似ているんだってばよ。
(うっ)
「…なんでもない、早く食えよ」
いぶかしげにオレを見つめていたサスケは、何事もなかったかのようにえさを差し出した。
(よかった!ばれてないってばよ)
胸をなでおろしてニャーと鳴いてみせると、サスケは少し笑った。
「ねえ、サスケェ」
ベッドの下にもぐりこんだ黒猫サスケを抱き寄せる。
「サスケはほんとに気づいてないんだってば?まあ、オレとしては気づいてほしくはないんだけど。だって気づいたら絶対サスケのこと心配するし。でもなんかさ…」
ニャー、とサスケはめんどくさそうに鳴いた。
「はは、サスケばっかで何がなんだかわかんなくなっちまったってばよ。」
ニャー、ニャー。
眠そうに目を細めるサスケの額にキスをすると、スースーと寝息を立て始めた。
「なあ、お前の飼い主ずっと見つかんねえな。」
いつものようにやってきてオレの頭をなでながら、サスケはつぶやいた。
「もう少ししたら、寒くなるな。よし、家に来い」
(え、えっ!?えええええ)
必死にサスケの手から逃れようとするが、しっかりと捕まれ逃れようがない。
(どうなってるんだってばよ!?)
慌てふためいている間に、ついにサスケの家まで来てしまった。
(ううううう、もうだめだってばよ)
半泣きでオロオロとしていると、再びサスケに抱き上げられる。
「びっくりしたのか?」
そう言って、あの時と同じようにオレの鼻の頭にキスをした。
それだけじゃなく、まぶたや耳、お腹にまでキスをし始めた。
(な、何してるんだってばよ!)
ついにサスケが口にキスをした瞬間、
ボンッ!
「な、ななな何するんだってばよ!」
「それは、こっちの台詞だ」
「なに言ってんだってばよ!く、口にまでキスするなんて、どういう…って、え、あ…」
「猫に変化までしてオレを騙そうとしてたくせに、何されたって文句言えねえだろ」
ようやく自分の変化が解けてしまっていたことに気づいて、顔が赤くなる。
「あ、あのな、サスケ。これにはふかーい訳があるんだってば…」
「なんだ、お持ち帰りされるためにやってたんじゃなかったのか」
「お持ち帰りって、意味がわかんないってばよ!ん?…あのさ、」
「なんだ」
「もしかして…、知ってたってばよ?」
「お前があの猫にサスケって名前つけて飼ってるってこともな」
「お、お前ってば!///」
「ふ、このオレを騙そうとした上にこんなとこまでついてきたんだ。覚悟はできてんだろうな」
「え、ちょ、ま…」
「何なら、猫耳と尻尾だけは残しておいてもいいんだぜ」
「ひ、ひいぃぃぃ!!!」
その後、黒猫サスケさんは2人の間で大切に育てられましたとさ。