Short dream 銀魂U

□運命
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私は思うのです。











逃れられないことがあると。













人として生まれた限り、逃れられない。
















決して逃れられはしないのです。














この運命からは。











受け入れるしか、ないのです。













この運命を。














ああ、私は何も知らずに流されていたかった。













私は――・・・

















目を開けたらいつでも貴方がいました。















口を開けば、憎まれ口をたたき合っていました。















この絆という糸は何処で交わり、結ばれたのでしょうか。














ああ、もう二度と戻りはしないあの日々が迫ってくるのです。













懐かしい記憶が、私を引き戻そうとするのです。














分かっています。










連れ込まれたら、帰れないと。















「総悟・・・?ねえ、総悟ったら・・・」

















いくら呼びかけても返答のない言葉。









思わず頬がゆるみました。














いつもと同じですね。












でも、いつもと同じだけど・・・。












確かに、確かにあなたは生きていたはずでしょう?












目を開けていたのに。













貴方は私の隣で笑っていたのに。













あなたはどこに表情を置いてきてしまったの?















もとから乏しかったけど、それでも確かにあったはずでしょう?














「もうやめてよ・・・。遊びの時間は終わったの。早く・・・目を、あけてよ。」
















今日こそは騙されないんだからね?



















今日こそは寝たふりなんて許さないんだからね?

















もう・・・なんでこんなことするの?














私の困った顔が面白い?















私の悲しむ顔が面白い?














「私は・・・面白くないよ。」















どうしてあなたの手は動いてくれないの?















どうしていつもみたいに振り払ってくれないの?












どうして貴方の周りに・・・血の海ができているの?













「総悟?ねえ、総悟・・・」














その温度が怖くて触れられない手。















いつまでも動かない貴方。














いつまでも動けない私。

















何処で絡まった糸ですか?
















何処で切れた糸ですか?















この切れた糸の先には何があるのですか?



















暗闇ですか、それとも光ですか?
















ああ、でもこの光の先に懐かしい貴方の気配がする気がします。














今すぐあなたに会いに行ったら、あなたはどんな顔をしてくれるのでしょうか。













待っていてください。











今すぐ、行きますから・・・

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