史上最強の学園

□X.たまに見かける逆鬼ごっこ、アレ何?…上
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世界に名だたる魔法学園(マジシャンズアカデミィ)、Blue Rose学園の朝はとても騒がしい。
校舎に向かう沢山の道の中、中央通りの賑わいは特に物凄い。
何故ならそこは最高幹部(ステルズ)とその補佐(クラウン)、つまり生徒会(ストゥル・ヴァルズ)のメンバーが通る道なのだ。
この中央通りの奥、彷徨いの森(メイズフォレスト)側にある【桜嵐(オウラン)公園】。
この公園にはその名の通り春になると沢山の桜並木が咲き誇る。
そんな公園の更に奥にあるトイレではない方の小さな建物。このような建物はBlue Rose学園内ならどこの公園にも、施設にもある。
この建物の中に在るのは一対の大きい合わせ鏡。
その合わせ鏡は勿論セルドア。毎朝そこから生徒会(ストゥル・ヴァルズ)の面々が出てくるのだ。
当初は桜嵐公園で生徒達が出待ちをしていたのだがファン同士の些細(ササイ)な諍(イサカ)いが広まり大きな暴動になってしまい迷惑がかかるということで公園での出待ちは禁止されるようになった。

・・・女って怖いよね。

その為桜嵐公園での出待ちが出来なくなったぶん中央通りに人が集まり生徒会(ストゥル・ヴァルズ)のメンバーは毎朝集まったファンの間を通って行かなければならない。
しかも、今回の生徒会(スト
ゥル・ヴァルズ)のファン総人数は歴代最高人数で、朝の出待ちに格闘系列(ナイト)の警備委員会【防衛衛兵(ディフナイツ)】が派遣される程。


そして、それはテスト準備期間の朝でも変わらない訳で・・・




「キャー!!来たわよ!霧龍様ー」

「御守くーん、こっち向いてぇー!!」

「雪梛君、可愛いわぁ」

「瀞深様ぁ素敵!」

「舜狼君はあのやんちゃさが母性本能を擽(クスグ)るのよねぇ」

「閑城お姉様よ!」

「キャー万歳様ぁ!」

「雪璃様ー!こっちよー」

「あら、岑君どうしたのかしら。頭を押さえてるけど」

「澪湘様に爲莢君が付き添ってるわ」

「いや〜ん遙凜君優しい」

「神羽様・・・あのクールさがたまらないわ」

運良くなんだか悪くなんだかで生徒会(ストゥル・ヴァルズ)と目が合ったりした人などはその場で失神して救護班に運ばれている人もいる。
中央通りはキャーキャーと朝から黄色い声に包まれる。
だが、あるのは女子の黄色い声だけではない。
そう、野太い男子の声も混ざっているのだ。
例えば、秋葉風男子。

「千麻叉さーん、大大大好きだー!」

「いつまでも変わらないでいてくれーー俺達の聖女様!」

「荒んだ此の世に現れた救世主、我らが心のオアシス!」

「織琉ちゃーん、こっち、こっちだよ!!」

「色葉ちゃん、今日も君の為に踊るよ!」

「貴様、何織琉ちゃんのこと名前で呼んでやがるんだっ!!」

「煩(ウルサ)いな下等動物。君達こそ純粋な色葉ちゃんの視界に入らないでくれるかな」

「おぃ!そんな奴相手にするな。早く配置に付けっ」

と、いって大人数で踊り始めたり。
例えば格闘系男子。

「冬縞の姐さん、お早う御座います!!」

「今日も素晴らしいボディバランスですねっ」

「舜狼!今日こそは我が部にー!!」

「神羽さん、今日もサイコーです!」

「今日の稽古指導も宜しくお願いしますっ!」

「鬼月さん、あんたになら俺抱かれてぶっ・・・」

「お前、この清々しい朝に気持ちの悪いことを口走るな!」

「幾杷さんも放課後の稽古絶対来て下さいねー!!」

かなり、暑苦しい奴らですね。
例えば・・・あ、先生。

「奴はどこだー!」

「探せ!!補佐(クラウン)だからこの近くにいるはずだ」

「テスト準備期間中に捕まえなければ!」

「引っ捕らえろっ!」

「今回こそ今回こそー!!」

「今度こそ捕まえて最新型の車買うんだーー」

「あー、今日もみんな見目麗しいわねぇ」

「いつもながら可愛いわ、食べちゃいたい」

「あら、駄目よ〜生徒に手出しちゃ」

「分かってるわよ。思ってる・だ・け」

「って、あんたら和んでないで探せよ!!」

「柚木(ユギ)先生、遊芽(ユメ)先生、楡麻(ユマ)先生。いいですか、この任務は貴女達にも関係あるんですよ!!」

「うっ、分かりました」

「でも、私達まだここの職員になったの今期からなんで詳細聞いてないんですよ」

「なんで必死に探しているんですか?」

三人の新任教師が一人の古株の教師に今更なことを問い詰める。

「誰にも説明されていなかったんですか!?はぁ・・・・取り敢えず今はこれだけいっておきます。これは学園長から直々ないい渡された任務なんです。ですから、彼をさっさと見つけ確保して、私の前に連れてきて下さい」

学園長から、という一言を聞いた途端三人の女教師達は顔を青くした。

「が、学園長、から・・」

「・・・直々」

「ちゃんとしたことは後で説明しますから、今は彼を探しなさい」

「「「は、はい、了解しました!」」」

三人は表情を変え、声を揃えて探し始めた。
その姿を見送った見た目は二十代の綺麗なのに古株の教師、楊 瓊(ヤナギ ケイ)はさっきの説明に一言ぼそりと付け加えた。


「ボーナスと有給休暇がかかってるんだからね♪」


ぶっちゃけるとみんなこれに釣られて必死に探しているのである。
彼女達にも教えてあげればいいのに。
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