史上最強の学園

□W.天上の彼の人【生徒会(ストゥル・ヴァルズ)】とは…下
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外はもう既に太陽は傾き、暗くなってきていた。
現時刻は夕飯時。
万李館の洋館のキッチンからは良い香りが漂ってくる。
もう、殆どの人達は夕飯を食べるべく食堂に集まっていった。

「たくもう、いつもなら癸鳥ちゃんはとっくに来てる時間なのに遅いなぁ〜。まぁ、神羽先輩はいつものことだからいいとしてぇ」

今日の食事当番の織流 色葉(シキル イロハ)が完璧な美少女的アニメ声をあげる。
見た目も少女漫画に出てくるヒロインのような大きな濃い山吹色の瞳に小さい顔、細く長い手足、華奢な躯。先端がくるんとカーブしている瞳の色よりもっと明るいキラキラ輝く弾けるような色のツーテールの長い髪。

「今日はぁ色葉、がんばってお料理作ったのにぃ。冷めちゃうじゃない」

「今日は」と言ってるが実は一週間のうち五日は癸鳥が食事当番になっているのだ。
片付けは他の人が当番制でやっている。
本来ならば寮母さんなる者がいたのだが、ある時癸鳥の手料理を食べ、次の日の朝「癸鳥君には負けました(泣)。修行し直してきます(号泣)。どうか探さないで下さい(爆笑)」とどうすればいいのかよくわからない置き手紙を置いてどこかへ行ってしまったのだ。
それからは癸鳥が進んで家事全般をやってくれている。
まぁ、それだけでなく他の殆どの人達があまりに生活能力がなかったために一番家事能力があった癸鳥がやらざるをえなかったという事情もあるわけなのだが。
今では一応癸鳥が教えた成果で微妙になら家事がでくてた面々、色葉や遠采、舜狼、狗篠(クジョウ)、澪湘、万歳(バンサイ)、幟臣、爲莢(イザヤ)の半分はキチンと家事ができるようになってきた。補足すると千麻叉も料理はできるのだが彼女の味付けは全てが激辛で普通の人が食べられたモノじゃない。その為、万李館内では千麻叉に料理はさせない、千麻叉の作ったモノは絶対に口に入れてはいけないという暗黙の了解ができた。
その他の人達は家が上流階級過ぎたのだ。つまり今で一人暮らしなど経験がなく家にいても家事をする必要性がまったくない環境で育ってきたということ。
Blue Roseにいれば一人暮らしでも彼らほどに成績が良ければ外食なんてし放題のため飢え死になんて有り得ない。という訳で家事が全然できない。
今でこそ家事をできる人達が増えたが最初は本当に大変だったのだ。
だが、今この食堂にいる人達はそんな癸鳥の苦労を知らないのだろう。

「誰かぁ、癸鳥ちゃんどこにいるか知らなぁい?」

色葉の質問に澪湘を置き
に行った後のことを思い出した幟臣が「そういえば」と始めた。

「癸鳥なら昼寝するって自分の部屋に行ったと思うけど」

「じゃ、俺が癸鳥を呼んでくる!」

癸鳥がどこにいるかを聞いたとたん、呼びに行ってくると言ってガタンと席を立ち、目に見えない速さでダッシュしていった男がいた。
その男とは、あの紅髪の男、匪鴎だ。
まぁ、今までの彼の反応を見ていれば分かるかも知れないが。
そんな匪鴎を見ていた幟臣が、

「何も、走って行かなくても・・・空間移動扉(セルムーブドア)が在るのに」

と、呆れた目を向けていた。

「おい、神羽もいないぞ・・・・まさか」

御守 狗篠(ミカミ クジョウ)はいつも鬼月はいないので別に気にしていなかったが、なんか嫌な予感がした。

「まさか、癸鳥の部屋にいて一緒に寝てる?とか」

狗篠の言葉に続けて今までじーっと料理を凝視していた雪李(セツリ)が小さい声で続ける。

「ま、まさか・・・」

爲莢も同じ事を考えていたらしい。
この話し合い(?)の中に午後のおやつ事件から立ち直った舜狼も参戦する。

「えぇー!!ずるっ、何やそれ、鬼月先輩ずるい!わいも癸鳥と一緒に寝たいのに、抜け駆けや!!」

「いや、そんなこと後で癸
鳥に言えばいいだろ」

狗篠の冷静な突っ込み。

「それよりも、結局癸鳥は鬼月と一緒に寝てるんですの?」

今まで静観していた閑城も気になるのか話に加わり始めた。

「やっぱ、寝てんじゃないの?」

「寝てるだろ」

「それが一番可能性高いわよね」

「えっ、でもたまに外で寝てたりすることもあるじゃないッスか」

「あぁ、そういえば」

「それもアリ。今日天気良くて暖かかったし」

「よし、じゃぁ俺は外に寝てるに賭ける」

「わいも外寝に100円!」

「お前のはただ鬼月先輩が癸鳥と一緒に寝てるって考えるのが嫌なだけじゃないのか」

遠采が小さく突っ込む。
「ふん、甘いわね先輩方。鬼月先輩は癸鳥ちゃんの部屋にいるに決まってるじゃない。だからあたしは勿論癸鳥ちゃんの部屋寝に500円!!」

「はぁい、色葉も幾杷ちゃんと同じ意見でぇす★」

最終的には話し合いが賭けに発展しているがそこは無視の方向で。
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