ゆちょん

□パープル・ライン
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「ユチョン、あの入浴剤入れてくれたの?」

ほとんどパニックの俺と違って、ごく自然にシャワーを使って、髪の毛を洗いはじめたジェジュン。

「はい、そうです」
何で浴槽の中で正座して答えてるの、俺。

シャンプーを軽く流し、身体を洗うジェジュンをガン見してるうち、背中のタトゥーが気になり出した。


きれいな背中に、どんどん伸びていくタトゥー。
この美しい背中に他人が手を触れていると思うとムカムカする。

はじめて俺とジェジュンが一緒にタトゥーを入れたとき、メンバーが激怒した気持ちが、今ならわかる。

たとえどんなにきれいな模様のタトゥーであったとしても、痛々しい。

あの穢れない美しい背に生えていた透明な天使の翼。
それが、無理矢理手折られ、墮天使の烙印を捺されたような痛ましさを感じないではいられないんだ。


あの時は、ジェジュンとひとつの絆で結ばれた気になって嬉しかった。

ただ、隣で施術されるジェジュンが時々、美しい顔を歪めるのを見るのと、その苦痛を与えているのが自分だったらと邪な欲望が芽生えたのは確かだ。
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