便利屋さんと一緒

□第3章
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2  裏の裏















「あとどのくらいで攫いにくるんですか?」

「あと30分程かな。」

「あと30分。」

さり気なくチョーカーに手を当て会話を続ける

「この手紙には時間が書いてありませんが、電話でも来ました?」

「んっ…」

主人の失言に奥方も少し慌てた様に言葉を出す

「そうなの!!昨日直接電話が来て…」

「なるほど、何か手がかりが掴めるかもしれないので履歴を調べてもいいですか?」

「履歴は出ないの!!」

「こんな時代にそんな電話機あります?ましてやこんな豪邸に。」

「っ!!」

名無はチョーカーから手を離し、

暫くパソコンを見ていたチョロ松は一瞬顔を上げ2人を見る

すぐ画面に目を戻すとまたキーボードを操作し出した

繋がっているのは監視室

「見えてきたみたいだよ。」

「うん、カメラの情報は遮断したから少し早めに来るかもね。」

パソコンの情報を ユエが伝えると一仕事終えたトド松がカメラ画面を見て答える

ハッキングはトド松の方がむいているらしい

「お兄ちゃん達、厳戒態勢に入って。」

全員の耳に聞こえる幼女の声は少し緊張している

「ここに令嬢はいない。」
















気まずい雰囲気が流れる応接室

カラ松が気づき声をあげた

「伏せていろ!」

瞬間聞こえるガラスの割る音と銃撃音

テーブルの下に隠れた4人

その内の2人は怯えきっている

「予定より早い!!それに、こちらにも撃ってきているように見えたぞ!!」

「向こうの作戦が崩れましたからね。」

「貴方達の様は済んだということです。」

チョロ松と名無の言葉に2人は絶望の瞳を映した

「こ、殺されるのか。」

「殺されたくなければこちらの指示に従って下さい。」

見透かすようなチョロ松の目に捕えられ

主人は懐の拳銃を差し出した

「貴女もです。」

チョロ松が手を出すと落ち込むように手渡す

「ごめんなさい…」

“こちら1F廊下ー20人”

“こっちは1F階段!!15人!!”

“ロイが2F廊下わかんないけどそんくらい。”

「後は?」

“玄関から30人。1F2番目の客室窓から10人かな。”

「こっちは終わったぞ。」

カラ松がテーブル下を覗き込む

いつの間にか止んだ音はただの静寂に包まれていた












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