孤児と大天使

□Episode2
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Episode2  







六つの同じ顔を集めなさい。あなたの願いを叶えます。









フッと目が覚めいつもの部屋が目に入る

夢で見た出来事を思いだしがら髪を手ぐしで整えた

「変な夢。」

靴を吐き食べ物の支給を取りに急いだ










「神父様。」

「どうした?」

いつもの笑顔で返され釣られて微笑む

「自分の顔があと五つあると思う?」

「ん!?」

意味がわからず口角を上げつつ考える

真面目な子が急に素っ頓狂な事を言ったのだ

驚いた

「その…昨日夜中に、大天使様が来て…」

「大天使様?」

「あ、はい。恩返しとして願いを叶えてくれると。」

「なるほど。」

羨ましそうに考えるカラ松にホッと息を吐く

この人は聖者だし

人柄が優しく穏やか

他人と違っても蔑むことは無い

「でも…」

「ん?」

「夢で、六つの同じ顔を集めなさいって。」

「ん…地味に難しいな、全く同じではないとダメなのか。」

「当たり前でしょ。」

「わ!!」

声がした上を見ると昨夜見た大天使

ユエは驚き思わず立ち上がった

思わずカラ松を見ると不思議そうに上を向いている

「私はそこを妥協しない。」

優雅に降りてきた彼女に2人の人間は釘付けになる

「だって恩返しといえど1人の人生を変えるんだもの。」

「それもそうだな、大きな願いだから少しは難しくないとな。」

「その通り!!」

息ぴったりの2人に詰め寄られ椅子にぶつかり座り込む

「し、知り合いだったのですか?」

「いいえ?」

「はっ!!ご無礼をお許しください大天使様!!驚き過ぎて逆に素が…」

「いいわよ全然。」

慌て出すカラ松に普通に返す ボス

非日常を目の前にしながら ユエは少し目眩がした

「ここ、居心地がいいわ。あなたの信仰いいわね。」

「恐縮です。」

住み着きそうだな

そう思いながら ユエは2人を見守る

「それで、少しでも思い当たる人はいないの?」

同じ顔の話に戻りずっと頭に浮かんでいた2人を思い出す

しかし

いいのだろうか

「…」

「いるの?」

「うーん…」

気まずそうにカラ松をみる

いつもの笑顔で言葉を待つ彼の目を見れず視線を下に向ける

「その…神父様に似ている方が…」

「俺に?」

カラ松と ボスは目を合わせ ユエの言葉を待つ

「神父さん、下がって。」

「え。」

突然顔つきが変わった大天使に戸惑っていると物凄い風が吹き

今までそこには居なかった姿が現れる

「ユエちゃんは俺の事を言いたいんだよねぇ。」

現れたのは悪魔

その顔は

「俺に、似てる。」

思わず胸元の十字架を持ったカラ松と目を丸くする ボス

「なるほど。」

臨時体制を緩め地に足を付けるとまじまじと悪魔を見つめる

「へぇ、大天使か。すごいねぇユエちゃん。」

得意のニヤニヤ顔で 見る悪魔に腕を組みため息をつく ボス

「まさか悪魔とはねぇ。」

やはり気まずそうな ユエに頭を撫で微笑む大天使

「ねぇ、この子のお手伝いしてあげてよ。」

「やぁだよ、なんで俺が。」

「話はわかってるんでしょ。」

「大天使様。」

止めようとするカラ松にほほ笑みかける大天使に ユエも不安そうに見守る

「俺にメリットは?」

「そうね…」

少し考え悪魔の目を見続ける

変わらずニヤニヤしながら ユエの頭に顎を置く

「もしこの子と契約して手伝ってくれるなら、あなたを人間にしてあげる。」

「…」

悪魔は顔つきが変わり ユエから離れると少し前に出た

「それ、本当だろうな。」

「約束するわ。」

「…」

暫く黙ると振り返り ユエの前に跪く

「え。」

「勘違いするなよ、俺の願いを叶えるだけ。」

彼女の手を取りニヤッと笑う








「俺の名はおそ松、アンタの役に立ってあげる。」










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