孤児と大天使

□Episode3
1ページ/1ページ

Episode3
 







「お前さ、何してんの?」

街の中を途方に歩く ユエの後を付きながらおそ松はつまらなそうに息を吐く

周りに見えていないとわかっているので路地裏に入り周りを見渡してからおそ松に向き直った

「…なんにもしてないよ。」

「はぁ?じゃあなに?ただ歩いてるだけ?つまんねー!!」

「いつもは教会でお掃除のお手伝いとかしてるの!!」

ユエに言われ眉を寄せると怪訝そうに手を腰にやる

「なんで今日はやんねえんだよ。」

「何でって…その…居心地悪いかなと思って。」

「は?誰が?」

「あなたが!!」

指でびしっと指され少しぽかんとする

そんな事考えてくれてるとは思っていなかった

悪魔の自分とは大分考えが違うようだ

「お前、面白いな。」

「え!!なんで!」

「ただブラブラすんのもなんだし似た顔探そうぜ。」

急に機嫌がよくなったおそ松に疑問を浮かべるが言う通りに悪魔に付いていく

彼とこんなに仲良くなるなんて思ってもみなかった














教会

高い位置にあるステンドグラスを磨きながら ボスは微笑んでいた

掃除なんて何百年やってないだろうか

天国は綺麗だ掃除の必要がないくらいに

「だ、大天使様!!」

カラ松の慌てるような声が聞こえ思わず見下ろすと焦ったような顔に内心困惑する

ユエに何かあったのだろうか

「何があったの!?」

地上に戻りカラ松に詰め寄ると

彼は顔を真っ赤にしながら後ずさり腕で ボスを押し返す

「そ、掃除なんてしないでください!!俺がやりますんで!!」

「へ?」

予想外の言葉に力が抜け詰め寄る力を抜く

「なぁんだそんなこと?いいのよ私がやりたいだけだから。」

凛々しい眉を下げた神父は大天使の手を見つめていると

思わずその様にしたかのようにその手を持ち上げ摩る

「えっ…」

「この様な綺麗な手が汚れてしまうなんて俺には耐えきれません。」

カラ松の手が ボスの頬に近づく

「どうか俺に任せてくださ…い……えっ」

ボスの頬に行き着く前に顔が真っ赤な彼女に気づき手を止める

「そ、そんな…そんな事…っ」

「あ、えっと…」

「そんなカッコいいことカッコいい顔でカッコいい声で言わないで!!」

「え!!」

そう叫ぶとともに距離を取り一番遠いミサ席に隠れる

顔を隠しながらも目上だけだして睨まれ少し笑う

「そんな…可愛い事、しないで…下さいよ…」















「なかなかいないもんだなぁ。」

「俺と神父が奇跡だったんだよ。」

「うん…」

河原に出てきた2人は座り込み空を仰ぐ

「おそ松お兄ちゃんはさ。」

「んー?」

「空を飛べるんだよね。」

「まぁねー。」

「どんな感じ?」

「んー、普通。」

「そっか。」

「…」

寝転がっていたおそ松は急に起き上がりどこかを見つめる

「どうしたの?」

「いや…」

民家の屋根の上に微かに見える人影

辛うじて見えるその人はマントを被っているようだ

「あんな所で、危ないね。」

「あれ、人間じゃないよ。」

「え…そっか…」

おそ松はまた寝転がり目を瞑る

「ま、俺は契約上君しか守らないから関係ないけど。」

「どういうこと?」

「そういうこと。」

「…そう。」
















-

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ