孤児と大天使

□Episode5
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Episode5














「フンフーン。」

朝目が覚めると綺麗な歌声

透き通った声色に目覚めは最高だ

「ん…」

覚醒し切れないがなんとか上半身を起こし眩しい朝日を見る

「あら、起きた?」

これまた眩しい笑顔を向ける彼女にゆっくり視線を向けようとした

その時

「うおおおおお!!!」

ものすごい勢いで向かってくる何かを寸前で交わし完全に意識が覚醒する

「ちっ」

「おはようカラ松!!」

正反対の対応を見せる2人に苦笑いを零しながらおはようございます
と返す

大鎌をしまい直した死神--一松は不機嫌そうに部屋を後にする

「ねぇ、朝ごはん作ったの。」

「え!?」

大天使の言葉に驚き思わず立ち上がった

自分を見上げ可愛らしい顔を向けるその天使

あの時

あの掃除のやり取りの時から

ボスはカラ松にベタベタ

カラ松は嬉しいながらも困るしかない

なんせ相手は大天使だ

「ね、早く。」

手を引かれキッチンに向かうとテーブルには凄い量の朝食

「お…凄いですね。」

「ありがとう!」

食べ切れるか…と思いながら席に付きコーヒーを入れる彼女を見る

とりあえず幸せそうで何よりだ
















教会の裏は居住スペースになっており

その裏では中庭のようになっている

一松がしゃがみ込むとどこからか猫が鳴きながら近寄ってくる

「お腹へったの。」

頭を撫でるとゴロゴロと喉を鳴らし擦り寄る

思わず笑顔になっていると中庭の扉が開く音がし勢いよく振り向く

「お、ああ…」

やってきたカラ松は少したじろぐが一松の手元を見て笑顔になる

「猫、好きなのか。」

「…」

「じゃあ君にこの仕事をお願いしようか。」

「は。」

差し出されたモノを思わず受け取り見る

魚や鰹節等諸々乗ったお皿は少し重かった

足元を見るとその皿を見ながら賢明に泣いている

置いてやると夢中でかぶりつく

一生懸命なその姿にまた笑顔になる

「生き物はいいな。」

「…」

「生きるという事は醜い様だが綺麗な事だ。」

「…それは命乞いのつもり?」

「いや、神父として思った事を言ったんだ。」

「ふーん…」

猫から目を離さない一松から静かに離れ家に戻る

「ねぇ。」

「ん?」

「毎日用意しといてよ。」

「フッわかった。」
















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