孤児と大天使

□Episode6
1ページ/1ページ

Episode6










旅を続ける男は


ある街に辿り着く


悪魔を従える幼女を見つけ


驚愕の表情を浮かべた








「ひーまっ」

ユエの後ろで浮かぶおそ松は後頭部で腕を組みつまらなそうに声を上げた

同じ顔を探してはいるが所詮はか弱い幼女

街の外へ行くなんて出来ないし

ましてや旅をするなんてもってのほかだ

街から出ず3人揃ったのは奇跡だろう

「...おそ松お兄ちゃん。」

「あ?」

人目を気にしながら声をかけてきた一応主人に返事をする

「やっぱり、難しいかな。」

「だろうな。」

ため息を吐くユエは何か考えているようだが生憎悪魔にはわからない










その頃教会

1人の青年が扉の前で動けずにいた

「なんて言おう...」

幼女に悪魔が取り憑いていました

単刀直入に言えばわかりやすいが信じてくれるだろうか

神父なら祓ってくれるだろうか

とりあえず入ってみよう

そう思い心做しか重たい扉を押した

「...失礼しまーす...」

恐る恐る顔を出し声をかける

声量が小さかったのか返事は来ず

綺麗なステンドガラスが輝いていた

「上の方まできちんと磨かれてる...」

見上げると埃ひとつないガラス

天井まで光って見える

「...僕と同じようなのがいるのかな。」

「...お前も天使なの。」

「っ!!」

突然の声に振り向くとやる気のなさそうな男がミサ席の背もたれに座りこちらを見ていた

大きな鎌に怯えながらも顔を見てまた驚く

「え...」

「は...」

お互い顔を見合わせ言葉を無くす

「ああ...」

1人納得した一松は先日の大天使の言葉を思い出す

『あの子は今、6つの同じ顔を探しているのよ。』

探してる、と言うよりは向こうから勝手にやってくると言った感じだが

「あの...天使って...」

顔よりも先程の言葉が引っかかったのか男は少し怯えながら問いかける

ニヤリと笑った一松は

「自分の目で確かめれば。」

と言い残し姿を消した

「...人間じゃないのか。」

ため息を吐き奥へ進む

早く神父を見つけなければ

やはり

少し居心地が悪い

「あのー誰かいませんかー?」

広い教会に響く声が少し震えていた





「呼んだか。」

奥から出てきた神父

その顔にまた驚く

「もう!!なんなのこの街!!こわい!!」

遂に声を荒らげた青年は2つ目の同じ顔に頭を抱えた

「同じ顔...」

カラ松も驚いたように呟くとあとから来たボスも楽しそうに笑う

「向こうから来るわねぇ。」

「え、なに、天使!?」

「ん?見えるのか?」

神父の言葉にハッとした青年は口を手で隠しずっと持っていた大きな菷を握りしめる

「ユエと同じか?」

「いいえ神父、この子は違うわ。」

疑問が残るが青年は用があり教会を訪れたのだろう

こちらの目的は置いておく

「今日はどうしたんだ?」

「あっ!そうそう!悪魔に取り憑かれてる女の子を見かけたんだ。出来れば助けてあげて欲しくて。」

「悪魔...?」

「うん、まぁ知らない子だけど見ちゃうと可哀想に思えちゃって。」

旅すがらその様に頼むため教会を訪れることはよくある

神父によりその反応は様々だが

「それってもしかして...」

「俺のことぉ?」

「っぎゃあああああ!!!」

突然現れた同じ顔に涙を流しながら後ずさる

ここまでくると気味が悪い

「全く...あまり驚かせるなおそ松。」

「しょーがねーじゃん性だよ。」

仲良く話す神父と悪魔に思わず菷を構える

こんな光景はどこの街でも見たことがない

神父の後ろで大鎌を構える死神も

それを避ける神父も

笑って見てる悪魔も

そして

「怯えなくてもいいのに。」

優しく微笑む大天使

なんなのだココは











[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ