孤児と大天使

□Episode7
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「僕はトド松、旅をして回ってるんだ。」

優雅に紅茶を飲み目の前に座る神父に言う

その後ろから襲う大鎌をギリギリで避けた神父は勢いをつけすぎておでこでカップを割った

「くく...」

「あら、カラ松大丈夫?」

「ふっ...血も滴るいい男、な、俺。」

「大丈夫そうね。」

「ちっ...」

その間トド松は表情を引き攣らせながら見守る

ユエは何かをずっと考えていたのか意を決した様にトド松の視界に入った

「あの!トド松お兄ちゃん!!」

「ん?なぁに?」

緩く微笑みカップを置くとユエを見る

「あのねっトド松お兄ちゃんの旅に連れて行ってほしいの!」

「えっ」

何人かの声が重なり1番慌てたのはカラ松

「な、何を言っているんだユエ!!まだ君は幼いんだ危険だぞ!!」

「そうだよー何があるかわかんないよ?」

「おいユエ、こいつお前を襲う気だぞ。」

「そういうのとかじゃなくて!!」

からかう悪魔に掴みかかるトド松はプンプンという擬音が付きそうに怒る

「でも!6つの同じ顔を集めるにはここにいるだけじゃ絶対無理だもん...」

「え?なにそれ。」

「じゃあ行ってきなさいな。」

「え。」

また重なる声にボスは吹き出し紅茶の入ったカップを手に取る

「言い分は最もだもの。」

「そうだが...」

「ちょっと、ちょっと待って僕の意見は!?」

「無いようだなぁ。」

ケラケラ笑いトド松の頭を肘掛にするおそ松はとても楽しそうだ

ちょうど日常に飽きてきた所だそろそろ動き出したい

「うー、でも...」

「何か問題でも?」

「......アンタ達に隠しても無駄そうだから言うけど、僕魔法使いなんだ。」

「え!魔法!?」

正体に気がついていなかったカラ松とユエは驚き前のめりになる

キラキラした目に動揺しながらトド松は口を開く

「アンタ達と違って一般人にも僕の姿は見える。正体を知られて危険な目に合ったことは何度もあるんだ。」

切なそうに言う彼に前のめりだった2人は姿勢を戻し眉を寄せる

「人と違うと虐められるのはどこに行っても同じなんだね。」

「下手すると狩られちゃうからね。」

「そんな事が心配ならだーいじょーぶ。」

おそ松はにんまり笑うとユエの頭に顎を乗せ得意そうに言った

「俺はこの子に取り憑いてるんじゃない、契約を交じわしてる。この子が危険な目に合う時は俺が何とかするから大丈夫ー。」

「は?契約?何者なの君。」

「普通の孤児だよ。」

「普通かなぁ...」

ああ、普通じゃないのを寄せ付けるのか

と正解を導いたトド松は大天使に目を向ける

聖なる笑顔は少し眩しくやはり少し居心地が悪い

「...わかったよ、一緒に行こう。」

「やったぁ!ありがとう!!」

「うっひょー!!」

ハイタッチをして喜ぶ幼女と悪魔

なんで悪魔まで喜んでるんだよ

という言葉は誰からも出ず



とにかく

旅人は2人の仲間を手に入れ

明日

街を出ることになったのだった












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