便利屋さんと一緒

□第4章
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1 偽物












「ただいまー。」

「おかえり…なさ…?」

ボスの姿を見たチョロ松は何かの違和感を感じ言葉を濁した

「どうしたのよチョロ松。」

「…いえ、早かったですね。」

「そう?仕事に早く戻りたいと思うのは社会人として当然の事じゃない。」

クスクス笑う彼女にやはり違和感しかなく、

チョロ松は少し警戒しながら会話をする

「カラ松は?」

「ああ、少し寄り道するって言ってたわよ。」

「そうですか。」

名無はデスクにつくとパソコンを立ち上げながらチョロ松を見る

「ロイはいるかしら。」

「いつもの所にいると思いますよ。」

「あらそう。」

「ロイに用事ですか?」

「ええ、ちょっと。」

そこから何も行動する仕草を見せない所を見ると完全に別人

確信を持ったチョロ松は腕時計に付いているボタンをこっそりと押した

「…」

「カラ松遅いわねぇ。」

「…そうですね。」

小型イヤホンから聞こえる声に反応はせず

目の前の人物に気を向ける

「カラ松も一人になりたい時があるのかしら。」

「そうかもしれませんが、ボスは心配しなくていいですよ。彼は強いですから。」

首をかくフリをしながらチョーカーに手を添える

一部分だけイヤホンの向こう側に向けると手を離す

「そうよね。」

ニッコリ笑う目の前の人物に笑い返しチョロ松はパソコンに向き直った

「ただいまー、あれ、ボス早いですね。」

帰ってきたトド松と ユエは驚いた様に 名無を見る

少し息が上がる ユエを背に隠しながらトド松は笑顔で声をかける

「あの後カラ松兄さんとブラブラしてきなよーって言ったら喜んでたのに。」

「え、ああ、急にここが心配になっちゃってね。」

「へー、珍しいー。」

「…ロイを呼んでくれる?」

「え?マイクで呼べば来てくれると思いますよー。」

「…」

冷や汗をかき始めた女に3人の視線がキツくなる

ちらっと時計を見て時間を確認するともっと焦った様にチョロ松に詰め寄る

「もう!!いいから呼んで…っ!!」

「お呼びですか。」

いつの間にかいたのかロイが背後で声をかける

驚いたように肩を跳ねさせ振り返った彼女は瞬く間に笑顔になりロイに近づく

それと同時に一定の距離を保ちつつ下がるロイ

「あら?どうして逃げるの?」

「あなたは誰ですか。」

「…」

「気づかれていないとでも思ったんですか?」

見るとチョロ松はメガネを外し彼女の傍まで来ていた

「へー!!ホントに似てるねー!!」

「ボスって双子だったの?」

「…胡散臭い。」
 
いつの間にか同じ顔+αに囲まれ彼女は焦る

「ちょっと、何よどうしたの!?」

「…第一に、ボスはホントに願い事をする時はとてつもなく甘えた声をだします。
第二に、ボスのチョロ松お兄ちゃんへの信頼は厚いです。心配で帰ってくることはありません。
第三に、2人はもっと!ラブラブです。
情報不足、勉強不足でしたね。
あと、うちのスタッフを舐めすぎです。」

まだしらを切るつもりの女にイラついたのか ユエは一気に言葉を出した

「…お前…っ」

ユエに掴みかかろうとした瞬間

女は苦しみだしうめき声をあげる

段々と変わっていく姿はとてつもなく痛々しく、現実離れしていた

「ひぇっ!」

トド松は咄嗟に ユエの目を隠すように頭を抱え込みチョロ松は自分の目を覆う

「グロすぎない。」

「俺これ姿変えられないけどやったことある。」

「お兄ちゃんちょっと一松が心配になってきた。」

「なんか汚いね!!」

「え!?感想そんな感じなの!?」

幾分耐性がある3人の間の抜けた会話にトド松とチョロ松は呆れながらも女の姿を見ることが出来ない

異様な臭いと共にあったうめき声は徐々に無くなっていきなんとなく、終わった事がわかった

「ふう。痛かった。」

そこに居たのは小太りの男

先程のボスに似た女とは似ても似つかない姿だった

「は?」

「姿形を変えるのはそれなりに大変なんだ。」

男はロイに目を向けるとニヤッと笑った

「さぁ、迎えに来たぞ。」

「え…」

「俺がお前の親だ。帰ろう。」

「…」

手を差し出す男に戸惑うロイ

全く動かないロボットに痺れを切らしたのか男は手を伸ばす









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