song

□遥かなる時空の中で
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「蝶紋の賽よ 天空の転がれ」
 経正・惟盛/語り:知盛


燎原の火となり 
炎くねらせて

華麗に舞い描く 
地獄の絵巻物よ

埋み火のごとく 
深き胸の底

和平への願いが 
静かに燃えている


滅びこそが 
我が美学

正しき道のみ 
我が信念

ふたつにひとつ


鮮やかに転がれ 
運命の賽の目よ

時の流れさえも 
追い越すほどに


血塗られた未来か 
栄華の最期か

戦いか平和か 
めくるめく宿命よ

行く末はどっちだ?


…強い相手と斬り合った 
至福のとき
飛び散る飛沫は 
赤芥子の花びらに
しかしその赤よりも
我が身に燃え盛る業火は真赤い…


生にしがみついた 
醜悪な者達

怨霊に変われば 
恍惚の世界となる

そんな間違いは 
人としていけない

滅亡を避けて 
手と手を取り合おう


滅びこそが 
美しい

正しき道へと 
導こう

ふたつにひとつ


天空に転がれ 
運命の賽の目よ

刻まれた蝶紋 
羽ばたくほどに


穏やかな旅路か 
阿修羅への道か

永遠か刹那か 
移りゆく宿命よ

行く末はどっちだ?


…生きるべき怨霊となるべきか 
それが問題だと?
クッ、つまらんな 
俺が生きる場所は生と死の狭間…


還内府殿(あのかた)に 
ついてゆく

あの男 
美を解さぬ下賎

本音はどこに

…さあな…


天空に転がれ 
運命の賽の目よ

刻まれた蝶紋 
羽ばたくほどに


穏やかな旅路か 
阿修羅への道か

永遠か刹那か 
移りゆく宿命よ

行く末はどっちだ?





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