君と明日と花冠
□0. 序章
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日常は、きっと揺らぐことを前提に在るのだ。
広い海原で、ただ一枚張り巡らされた薄氷のように。
ふとした拍子に、ひびが入って。
あっという間に脆く、踏み抜かれて、日常は、異常に切り替わる。
そう。
それは実に容易く
容易く……
ドサッ
「…っ、何だぁあんた、わざわざ夜這いに銀さんとこ来てくれたのか?」
気づいたとき、目の前にいたのは死んだ魚のような目をした白髪の男性だった。
今はその目をしぱしぱと瞬いてこっちを見ている。
布団。
男。
目の前。
夜。
男。
女。
男女。
…よ、「夜這い」!?!?