Message
□秒針
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とまった。
ぼくの家の大きな古い時計がとまった。
秒針だけが…とまった。ほかは動く
まるでぼくの心のようだ。
全身で生きるのを拒否した心、それでも生きつづける身体。止まることない時間
秒針はぼくの心
分針はぼくの身体
時針は留まることのない時間
その時計はぼくのようだ…いやきっとぼくを表現しているんだろう。
孤独になってしまったぼく
ねぇ…みんな…ぼくは… 生きなきゃなんないのかな
大きな時計に振れ呟いた。
なんだろ?雨かなぁ?雫がぽろぽろと床におちて行く。
留まることのない雫 とまった秒針
大きな時計は壊れて音も出ない はずなのに 12:00 ゴーンゴーン ゴーンゴーン
ぼくの耳の奥の鼓膜を刺激した…
あぁ… ぼくは涙がでる音も聞こえ、物にもさわれる
まだ…生きれる…
あなたたちは生きたかったんだ。
ぼくは…今辛くても逃げ出したらいけない。
だってぼくは今いきてるから…
見えるし、聞こえる、触れる、泣ける、笑えるのだから
あなたたちの代わりはいなくても、
きっと大事な人が沢山できるはずだから
少しでも逃げようとしてごめんなさい。
ちゃんと生きて…またいろんな人と笑い会いたい。
秒針はぼくの心と同じようにまたこの世界で時を刻んでいく。
ぼくは家の窓をあけて景色をみた…
この世界が始めて素晴らしいものだと思った。
あの時計はまた誰を掬うだろう。
だってあの時計は世界のすべてを表現しているのだから…
夏なのに窓から入ってきた風は少し冷たく暖かい…秋風のようだった。
ありがとう 大きな古い時計 ぼくの秒針