■調査資料T■
□衝動
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そのまま男の長い指先が、コツコツと無機質なゴーグルを叩く。
「アンタをジックリ味わうのに、コイツが邪魔だと言ったんだ。取ってくれ」
「…でも…見えるんですか?」
「見えねぇな」
「…」
「……クッ。心配は無用だぜ、コネコちゃん。アンタの悦い顔を見る時は、ちゃんとつけるぜ」
「な…っ」
嗚呼だからダメだったら。
また感情が露呈し過ぎていると、成歩堂は思い切り吸い込んだ酸素をゆっくり逃がした。
躊躇う成歩堂を促す様に、ゴドーがズィとその端正な顔を近づけてきたので、半ば慌てて機密機器だと謂うそれを取り外し、両手で持って膝の上においた。
直ぐにゴドーの口唇が降りてきて、成歩堂はうっすらと目を閉じ、彼だけを感じるために一つの器官を停止させた。
二度、柔く触れるだけの口づけを楽しんだあと、本格的に食いつくされるような───そんな獰猛なくちづけを受け、ゴーグルを持つ手に知らず力が入る。
「んンぅ…ッふ、ぅ」
大きな片手が耳に宛がわれ、弱いその部分を見抜かれているのか、耳朶から耳裏、耳穴を執拗に指先で攻められ、敏感な舌先を噛み扱かれながら吸われ、徐々に目眩が起こり始める。
ピチュ、クチュ…
聴覚神経を犯すような淫らな水音と、時折思い出したように軋む椅子。
飲み下せなかった唾液が成歩堂の口端から滴り、頤を辿ってポタリと鎖骨に滴る。
その滴を追って、耳を弄くっていた指が鎖骨を愛し、成歩堂の前を暴いていく。
シャツのボタンは知らぬ間に素早く外され、今はバックルに指が掛かっている。
───は、早っ
言葉にしたくとも極限にまで舌を絡めとられている今、出せる音は淫らなものばかりだ。
容易くバックルが外され、ジッパーが下がり、その指がまた上へ上へと這い上がってくる。
「…っんぅう!!…っぷぁ…、ぁうン!!」
突然の強い刺激に思わず口唇を離して喘いでしまう己が、非道く卑猥に思えて───成歩堂はすぐに居たたまれぬ心持ちになる。
敏感な胸の飾りを指先できゅっと摘ままれ、そのまま軽く捻られ、思わず成歩堂はグィと仰け反った。
「っひぅぅう…ッ、ぁ、ぁ、うぅっ!!」
「…やっぱ。この間も思ったんだが、えらく敏感だなアンタ。
誰に開拓されたんだ?」
「んぅッ…ふ、ぁ、ぁぅ…っ」
初心者だ、なんて。
今更どの口で言えようか。
成歩堂は言葉を紡がぬ代わりに、嫌嫌をする駄々っ子のように首を左右に振った。
「ふぅぅっ、ぁ…っそん、とこ…っばっか、やめ…っぁう!」
「───俺はまだアンタと二回目なんだぜ?コネコの悦い所は全部知っときてぇじゃねぇか」