slapstick paradise

□約束
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「ちょっとしたクッキングです。」
「何作ってるんですか?」
様子を見にキッチンへ向かう蘭丸。
ボン!!
蘭丸がドアノブに手をかけた瞬間、ドアが吹っ飛び蘭丸も巻き込まれ、吹っ飛ばされた。
「いって〜!」
「あ、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないです…。一体何作ってたんですか?」
「ギョズレメです。」
「ギョ、なんですか?」
「ギョズレメです。」
「なんなんですかその妙な名前の食べ物は。」
「昔トルコと呼ばれていた国の食べ物です。クレープみたいなもんだと思ってください。」
「何でまたそんなマニアックな食べ物を?」
「こないだ社長が作ってくれたんです。それがあんまり美味しかったんでもう一度食べたくなりまして、」
「それでどう作れば爆発なんかするんですか?」
「社長作り方教えてくれなかったんで、社長が入れそうなもの片っ端から入れてみたんです。」
「社長が入れそうな物って、」
「えーと、塩、レモン汁、ごま油、ラー油、タバスコ、小麦粉、鷹の爪、塩酸、しびれ薬、睡眠薬、毒物、牛肉、イカの墨袋、サイの角、髪の毛、子羊の脳みそ、火薬です。」
「明らかに食べれないものまで入ってるじゃないですか。」
「でも社長だったら入れそうじゃないですか。」
TRRRRRRRRR
突然、煌のデスクに置いてある電話が鳴った。
「はいもしもし。こちらslapstick、って巌介さんじゃないですか。」
どうやら受話器の向こうには鬼山がいるらしい。
「何でこんなに遅いんですか?私達もう暇で暇で、ん?なんです?……そんな、嘘。ホントなんですか?冗談とかじゃ無いんですか?まさか、にわかには信じられません。わかりました。蘭丸くん連れて、すぐ行きます。」
皐が受話器を置く。
「どうか、したんですか?」
皐の顔に刻まれた驚愕の色を見て、蘭丸は心持ち声を少し低くして聞いた。
「社長が、社長が、勝負に負けて、大怪我したって。巌介さんがとにかく急いで病気まで来いって。行きましょう。蘭丸くん。」







午前7時23分
THE WORLD内総合病院
「失礼します。」
病室のドアを開け、中へと入る皐と蘭丸。
「あの、社長は?」
蘭丸が不安げに鬼山に問いかける。
「大丈夫。今寝てるよ。大怪我だけど、命の危険はないって。」
「そうですか。」
皐はよほど安心したのか近くの椅子に座り込んでしまった。
「まぁ医者には死ななかったのが不思議だって言われたけどね。」
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