AMEN

□大事な会議と帰ってきたアイツ
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その日の朝、教会は慌ただしさに包まれていた。
「議席の準備は?」
「出来てます!!」
「人数分の飲み物は?」
「あります!!」
「ちょっと小腹が空いたときの食べ物は?」
「あと数分で出来上がります!!」
「よし、さぁあと数分だっ!各員ぬかりの無いように!!」
「「「はいっ!!!」」」





「いやー、皆さん朝から元気ですねー」
慌ただしく動き回る聖職者達の楽しそうに眺めながら、カーティスが口を開く。
カーティスは先日の医務室での一件により、肋骨を四本と右腕を骨折してしまい、作業から外されたのだ。
「ホントにいい御身分ですね」
そんなカーティスの前を作業に参加させられているサーシャが恨めしそうに見つめる。
「仕方ないですよ、なんせ私は大怪我負いましたからそんな重労働できません」
カーティスが大怪我をわざと強調して、折れた右腕をさすりながら、これまたわざとらしく痛がる。
いつもならサーシャが問答無用でさぼらせないのだが、今回は原因がサーシャにもあるので、強く言い出せないのだった。
「ほらほら、もう時間がありませんよ。こんな所で油売ってる場合じゃないでしょう」
「………っ!わ、わかりました」
サーシャが反射的にカーティスを殴ろうとした右腕をなんとか抑えながら離れていく。
「まぁ、私の分までしっかり頑張ってくださいね〜」
いちいち気に障るカーティスの言葉をなんとか無視しながら、サーシャは作業に戻っていった。







教会へと続く一本道の始まりに、一台の黒いリムジンが停車する。
リムジンのドアが開くと、中から六人の男女が降りてきた。
「良いですねえ。私の所とは大違い。静かで穏やかな空気に包まれています」
その中の一人、銀髪に隻眼の青年が外見に似合わぬ穏やかな口調で喋る。
「そうか?俺はこんな辛気臭いところゴメンだけどな」
こちらは、ショートカットにした茶髪で一見すると少年のようだが、少しだけ膨らんだ胸元で、かろうじて女性であるとわかる少女が煙草を口にくわえながら口を開いた。
この二人の他にも、アイマスクをした女性や、痩せぎすの男、右目にモノクルをつけた老人、鉄仮面をつけた人物がいる。
それぞれ個性的な風貌だが、全員が白いローブを身につけているという共通点があった。
「やぁ、随分遅かったじゃないか」
そんな六人の前に一人の少年が現れた。
その少年はまさしく目の前の教会の大司教である。
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