slapstick paradise

□帰還
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『こちら中央指令本部、第3中隊、応答せよ!』
『こちらだ……て…れ……』
『なんだ、くそっ!第1中隊及び第2中隊、第3中隊の援護にまわれ、第4中隊、第5中隊は第3防衛ラインまで後退!まもなく能力者部隊が到着する!それまで持ちこたえろ!!』
『こちら第1中隊、敵と交戦中の第3中隊を発見。これより援護にまわる』
『こちら第2中隊、現場に到着…っ!!何なんだ、あれは!!』
『どうした、何があった!』
『第3中隊と第1中隊の弾丸が、全て、当たっていない!いや、違う、あれは…弾かれて、いる?な、なんだ…』
『どうした、第2中隊、応答せよ!』
『こちら第2中隊、敵は衝撃波のようなものを纏って、銃弾を全て弾いている!!我々の装備では無理だ!』
『ということは、まさか…敵は、能力者か!』
『第2中隊から中央指令本部へ!撤退の許可をお願いしたい!!』
『……こちら中央指令本部。作戦変更、最優先目標を敵撃退から部隊の生還に変更する!!いいか、絶対に生きて帰ってこい!』





その日はWORLD内の天気が珍しく“曇り”に設定されていた。どんよりとした天気の中、slapstick社員、海堂蘭丸と鬼山厳介はWORLD内の特務本部へと向かっていた。
「厳介さん、特務からの依頼って一体何なんでしょうね?」
「わかんないなぁ。今までも特務からの依頼がなかった訳じゃないけど、直接話したいってのは初めてだからね」
厳介がポケットから煙草を取り出し、1本くわえる。だが、前方に一際大きなビルが見えた時厳介は煙草を箱にしまった。
「見えたよ。あれが、このWORLDの特務本部だ」




ビルに入った2人を外の空気とは大違いの爽やかの空調の乾燥した空気が包んだ。そのまま2人は受付にいる女性にそれぞれのIDを手渡した。
IDを受け取った女性はそれを端末に差し込み、数秒後、模範的な微笑みと共にIDを返した。
「slapstickの皆さんですね。お待ちしておりました。ご予定では代表の煌金糸雀様もいらっしゃるということになっておりますが…」
「ええ、確かにそうなんですが、ウチの社長はどうもここの空気が苦手なようでして…」
「はあ、では、少々お待ちくださいますか?上の者に確認をとりますので」
「その必要はありませんよ」
受付の奥にある扉からスーツ姿の青年が現れた。
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