slapstick paradise

□ギョズレメ大作戦
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午前3時34分
海堂蘭丸自宅
朝の爽やかな空気の中銀次が不満そうな声をあげている
「なーなー」
それを完全に無視する蘭丸
「………………」
「なーなーなー」
「………………」
「なーなーなーなー」
「………………。」
「なーなーなーなーなー!!!」
「あーーー!!!!!うるさい!!!!!朝っぱらからなんだよ?」
「朝飯は?」
「自分で作れ」
「やった」
「じゃあ良いじゃないか」
「実はそのせいで尊い犠牲が」
「えっ!どういうことだっ!?」
「おい、Q太郎。入ってこい」
銀次が扉のほうへ声をかける。
すると前髪の一部をちぢれさせ、ずぶ濡れになったQ太郎が出てきた。
「えぐっ、えぐっ、うぇぇぇぇぇ。自分の、自分の髪の毛がぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「な、何したんだ?」
「いやぁ飯を作ろうとしたのはいいんだが、コンロってもんの使い方がわからなくてなぁ」
「何とかして作ろうとしたんっすけど、いきなり火がぶわってなって、髪の毛に火がついて」
「それを俺が水をぶっかけて、消してやったってわけよ」
腕組みをし、ふふん!と鼻を鳴らす銀次。
「ほらQ太郎。取り敢えず洗面所行って、体拭いて」
「わかったっす…」
とぼとぼと歩いていくQ太郎。
「…む」
それとすれ違いになり部屋に入ってきたのはマタタビだった。
その手にはビニール袋が握られている。
「なんだ?それ」
「……………」
銀次を無視し、蘭丸に歩み寄る。
「ん?何?わっ!」
突然鼻先にビニール袋を突き出され、のけぞる蘭丸。
「え、何?くれるの?」
短くうなずくマタタビ。
蘭丸が袋の中身を確認する。
その中には、サンドイッチが2つ入っていた。
無言で袋に手を突っ込み、片方のサンドイッチを取り出すマタタビ。
「おい、ちょっと待てマタタビ。俺らの分は?」
例によって銀次を無視して黙々と自分の分を食べ始める。
「てめぇ
「朝っぱらから騒動なんてやめろよ。ほら、僕の分分けてやるから」
「うおぉ蘭丸ぅ!!お前ってやつぁなんていいやつなんだぁ」
「わかったから寄るな暑苦しい!!」
「あぁ!!ボスだけずるいっすぅ!!自分にも分けてくれっすぅ」
体を拭いて出てきたQ太郎が騒ぎ始める。
「あーもーうるさい!!」
蘭丸が叫ぶと3人は3匹に戻ってしまった。
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