Dream

□未来への翼 君への思い
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病院へ着くと精市は処置室へ直ぐに運ばれた。
「精市大丈夫だよ!」と運ばれて行く精市に言ったところで処置室のドアが閉まる。
閉まったドアの前で立ちすくんでいると後ろから
「美弘!」と呼び掛けられる。 後ろを振り向くと一人の女性が一歳くらいの子供を抱いて息を切らしながら早走りで来るところだった。
女性は精市の母親の莉子だった。そしてその母親に抱かれているのは精市の妹の歌穂だった。
「莉子さん!」     莉子さんは私の横に立つと「美弘、何があったの?」と聞いてくる。
私はふっと泣きそうになるのを我慢してこれまでのことを話す。学校でも様子が少しおかしかったことなど。
しかし、話していると最後のほうはとうとう泣き出してしまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きながら何度も謝る。
すると莉子は
「前を見な美弘。精市のことは私も気付いてた事だからね。美弘が悪いんじゃないよ。大丈夫、精市の事だからね。」と優しく私を抱き寄せながら言う。幼い頃から匂ってきた莉子の安心する香りがする。
「よしよし」と頭を撫でてくる。
顔を上げると不安そうな表情をした莉子の整った顔が見える。

少しすると処置室のドアが開き一人の看護師が出てき
「身内の方は処置室にお入りください」
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