捧げ物

□Same trowing
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今日の檜佐木修兵はすごく機嫌がいい。
何故かって?それはもちろん

「砕蜂隊長とデートだからだ!」

吉良と話していた修兵が大声で言う。急に大声を上げた修兵に視線が集まる。吉良は居心地が悪そうだが、修兵は気にしていないようだ。

「浮かれすぎだ、バカ者!」

後ろから声をかけられる。その声に反応した修兵が勢い良く振り返る。

「俺の愛しの砕蜂たい・・」
「うるさいっ!」

修兵は最後まで言う前にお腹を殴られた。手加減はしているはずだが、修兵は踞って殴られた所を押さえている。

「何も殴らなくてもいいじゃないですか」
「貴様がこんな所で言うからだろ」
「だって砕蜂隊長と会えたのが嬉しかったんですよ」
「だからって言われた私が恥ずかしい」

赤くなった顔で、しかも上目遣いで言う砕蜂。修兵は砕蜂に近付く。

「砕蜂隊長、抱き締めてもいいですか?」
「は?」

返事を待たずに手を伸ばし、抱き締める。
はずだったが、砕蜂は瞬歩で逃げて行った。

「砕蜂隊長、何も逃げなくても・・・。ん?なんだ?」

修兵は風でヒラヒラと舞い上がっている紙を見つけた。その紙を地面に落ちてから拾う。忘れ物かと思い、一応内容を確かめる。

『夜、会えるのを楽しみにしている。ちゃんと仕事しろよ』

と、砕蜂の綺麗な字で書いてあった。

「良かったですね、檜佐木さん」
「あぁ。俺は隊舎に戻る。じゃあな」

修兵は隊舎に戻り、自分でも驚く程のスピードで仕事を終えた。
そして、瞬歩を使って二番隊隊舎に向かった。

「砕蜂隊長、迎えに来ましたよ」
「まだ終業時間前だぞ」
「ちゃんと全部終わらせてきたから大丈夫です」

砕蜂が怪訝そうに聞くと、修兵は笑顔で答えた。砕蜂もつられて少し微笑む。

「そうか。大前田、後は頼んだ」
「へいへい」

大前田がやる気のない返事をしながら修兵の方にやって来る。

「隊長、今日はやけに機嫌がいいんだ。仕事も夜一様が来た時並のスピードで終わらせたしな。頑張れよ、檜佐木」

そう言うと、大前田は机に戻り仕事を再開した。

「隊長、行きましょうか」
「あぁ」

修兵がさっきよりもご機嫌で砕蜂の隣を歩く。

「どうした?さっきよりも機嫌が良くなったな」
「そりゃあ、隊長が俺のために仕事を早く終わらせてくれたからですよ」
「な、違うぞ!あれはだな・・たまたま暇だったから早く終わったのであって・・・」

砕蜂が言い訳をしているが気にしない。修兵は必死に言い訳を考えている砕蜂の手を取る。すると、砕蜂は黙ってしまった。

「砕蜂隊長?」

修兵が砕蜂を見ると、顔を真っ赤にして俯いていた。

「いい加減、手繋ぐくらい慣れませんか?」
「し、仕方ないだろ。それに、お前とだから照れるんだ」
「えっ?」
「す、好きな相手だから・・」

お互い照れてしまい、そこからは少し無言で歩く。
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