短編

□嘘を被せた王子の愛
2ページ/3ページ





“愛してる”“大好き”


名前からその言葉を聞くと嬉しくなる。照れてしまう。

そして、悲しくなる。




ねぇ、足りないんだよそんな言葉じゃ。
今にでも抱き締めてしまいたい。抱き締めて名前を俺で一杯にしてしまいたい。


俺はもう、こんなにもお前で一杯なのにお前は俺じゃない誰かを想ってる。




そぅ、俺は名前にとって“親友”でしかない。



解ってる。

叶わぬ夢だってぐらい。
解ってるんだ。
どんなに真剣に愛を伝えても、お前はまるで母親のように俺に愛してると返すだけ。


俺はどう足掻いても名前の恋人にはなれない。だから悲しくなる。
“愛してる”と言われて
切なくなる。



この事を言ったら名前はきっと俺を拒まない。

でも、元の関係にも戻れない。





だから俺は心にしまうよ。この恋心を…。


そしてまた伝えよう




『ししっ愛してる♪』




冗談と偽った
俺の愛を。



〜嘘を被せた王子の愛〜
(なぁ、気付けよ…)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ