短編
□嘘を被せた王子の愛
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“愛してる”“大好き”
名前からその言葉を聞くと嬉しくなる。照れてしまう。
そして、悲しくなる。
ねぇ、足りないんだよそんな言葉じゃ。
今にでも抱き締めてしまいたい。抱き締めて名前を俺で一杯にしてしまいたい。
俺はもう、こんなにもお前で一杯なのにお前は俺じゃない誰かを想ってる。
そぅ、俺は名前にとって“親友”でしかない。
解ってる。
叶わぬ夢だってぐらい。
解ってるんだ。
どんなに真剣に愛を伝えても、お前はまるで母親のように俺に愛してると返すだけ。
俺はどう足掻いても名前の恋人にはなれない。だから悲しくなる。
“愛してる”と言われて
切なくなる。
この事を言ったら名前はきっと俺を拒まない。
でも、元の関係にも戻れない。
だから俺は心にしまうよ。この恋心を…。
そしてまた伝えよう
『ししっ愛してる♪』
冗談と偽った
俺の愛を。
〜嘘を被せた王子の愛〜
(なぁ、気付けよ…)