present

□Good Morning Kiss
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体に違和感を覚えて目を開けると目前に彼の顔があった。

「けーすけ…?」

ああ、そういえば泊まりに来てるんだった。
あれ、でも確か別に布団敷いて寝てたはず…。
なぜか山ちゃんは俺に抱き付く格好で俺を壁に押しやって寝ていて、俺もしっかり山ちゃんがベッドから落ちないように支えていた。
しばらく身動きが取れずに悲鳴をあげていた体を動かしたくて、ゆっくり山ちゃんを押して少しだけ体勢を変えた。
その反動で山ちゃんが向きを変えて仰向けになる。起こしたか、と思ったがまた規則正しい寝息が聞こえてきた。

「けーすけ」

もう一度名前を読んでみる。
起こすような声質ではなく存在を確かめるように。
当の山ちゃんは先ほどよりも深い眠りに入ったのか少しだけ口が開いた。ゆっくり伸ばした左手を頬に当て、その唇を指でなぞる。
指を往復させる度に愛しさが増して、雑に上体を起こしてキスをした。
何度か触れて離れて、を繰り返し、下唇を含み目を開けると、ぼんやりとした目とぶつかった。まだ焦点が定まらないのか何度か瞬きをしている。
構わず先ほどと同じようにキスを続けると、同じように返してきた。まだ完全に起きていないのだろう、山ちゃんの唇はすぐに動かなくなる。
少し強めに吸うと、思い出したように動き出す。それが可笑しくてくすりと笑うと、

「も、ゆう……」

もごもごと言って顎を上げキスを催促してきた。
今すぐにそこに触れたかったけど、敢えて横にずらして頬にした。

あ、怒った。

眉根を寄せて唇を尖らせたので、今度こそその可愛い唇をぱくりと頂いた。
山ちゃんの唇が左右に伸びて笑ったんだ、とわかる。

「けーすけ、おいで。」

体を支えていた腕がそろそろきつくなってきたので、山ちゃんの右腕を引いた。目が覚めた時と同じように抱き合う格好に収まる。

「あー。しあわせ。」

うんうん、と呟くと山ちゃんは俺の胸におでこを擦り付けた。

「俺だって。」


すぐに空気と一緒に消えてしまう言葉は
ちゃんとこの耳に届いた。





2009.11.10

To 兎泉さま
相互記念に☆



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