らーぜ☆

□星に願いを 君に誓いを
1ページ/2ページ


やばい、寝坊した。
今日も練習に付き合う日だった。
7時半…急げば間にあう!


夏休みはもろバイト入ってるし、部活にも付き合ってるから結構きついんだよな。
それに泉もきついだろうからって泊まりはもちろん、家に遊びにも来てない今日この頃。
2人の時間なんて作れてない。



「いずみぶほく…」


……あ〜ダメだダメだ。
今日の第一声が『泉不足』って…
どんだけだ俺!


歯磨きを素早く終わらせついでに顔を洗う。

服を選びながら練習に付き合ってる自分や野球をしているみんなを思い出す。


みんな頑張ってるよなー
走ってる時の泉かっこいいよなー
ヤってる時の顔とは全然違うし
いや〜エロいエロい!
昨日も疲れてるのに眠れなくて泉で一人処理しちゃったし…


ってなにニヤけてんだ!
もう〜泉のことばっか考えてんじゃん



「あーもう、ぎゅ〜ってしたい!!」

いない相手を想像して抱き締める格好をしながら思いを口にして少し後悔…恥ずっ!
と、とりあえず急ごう。







練習はいつも通りきつくて。
ランナー、球拾い、準備片付けも手伝った。


あ…まただ。

無意識に泉を目で追ってしまっていた事に気づいたのはホント最近だった。
泉もたまにちらっと見てくれて。
機嫌がいい時は照れたようにニッと笑ってくれたりする。
まあほとんどが「見てんじゃねーよバーカ」って言いながら笑ってるんだけど。


そういや今日は目が合わないな…
こっちを気にしてワザと合わせないようにしてるような。
別に泉の機嫌は悪くないと思うし気まずい雰囲気でもない。


はあ…ついてない。
朝の運勢を見損ねたのも致命的!あれはよく当たるのだ。



ほとんど会話する事無く練習は終わった。
若干無視されてる感は否めないけど…泉もきついんだし俺だってきつい。誘うのはまた今度かな〜。


「お疲れ」と言って一足先に駐輪場に向かった。
方向一緒なんだし泉待っとけば良かったかな…まあ三橋たちと帰るか。


「浜田ー!」

考えながら歩いていると背中に声がかかる。一番よく聞く、今一番聞きたい声。
嬉しいのを隠して平静を装って返事をする。


「泉、どうした?」

「どうしたじゃ、ねーよ!…なに、先帰ってんだっバカ!」

「えっ…とごめん」

「おら帰るぞ」


走って来てくれて息を乱しながら、一緒に帰ろうと遠回しに誘ってくれる泉がものすっごいかわいい!

けど
泉…もう目合わせてくんないの?

「俺今日歩きだから後ろ乗せろ」
「あ、うん」


目を合わせないっていうより顔ごと背けられてるような…

俺より先に我がもの顔でチャリの後ろに乗ってる泉をじぃっと見た。
「泉、目…」
「見んな!!」

頬をぐいっと平手で押されもう泉を見ることはできない。

目…腫れてる?なんとなくだけど。少ぉし充血もしてるような。



しょうがないからチャリを漕ぐ。
ゆっくりゆっくり。

「泉、」
「寂しかったんだよ」

俺が話をする前に泉が小さく口を開いた。ちゃんと聞き取れなかったけど二度同じことは言ってくれないだろうことは判ってる。


「…泣いたの?」
「んなわけねーだろバカ」
「じゃあどうした?その目」

「…眠れなかったんだよお前のせいで!!」


最後の方だけ異常にでかい声でおまけに背中を叩かれて理不尽だけど。
そんな事どーでもいい。


泉が。
寂しいって
眠れなかったって
目を腫らしたのを見られたくないって

そう思ってくれてて



そのすべてが愛しい




チャリを止めた。
信号なんかじゃない。
体を捻って後ろの愛しい人の頬に手を添えて。
乾いた唇にキスをした。


何度かその大きい瞳をぱちくりさせてまた顔を隠した。

「ばか…」

紅く染まった顔を、誰にも見られないように。



あーもうこの子持って帰っちゃっていいですか!
で、でも…ここで我慢だ俺!


またゆっくり漕ぎ出す。
俺ん家と違う道を進む。
泉を家まで送るとまだ顔を背けたままの泉くん。

「夜…お前ん家行くから。じゃあな」


言った途端勢いよく家に入ってしまった。

…はい?
今日の泉くんは少し様子がおかしいようだ。
まあ嬉しいから俺はいいけど。さっさと帰って部屋片付けよ。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ